スマートフォン版へ

マイページ

590件のひとこと日記があります。

<< 芦毛を狙え! 2017年9月10日(日)... ひとこと日記一覧 スナック・パドック 「ローズS」レース前... >>

2017/09/12 21:06

スナック・パドック 「京王杯AH」 レース後

「俺の勝ちだな」マスターは右手を出して、早く払えポーズ。
「いやいや、出走を取り消したんだから、勝負にならないでしょ」ケンちゃんは応じない。
「とにかく賭けたときにはレースにいたんだから賭けのスタートは切られていたんだぞ」と勝負師マスター。
「勘弁してくださいよ。レースでの2頭の走った結果を賭けたんだから...。話にならないよ」
ケンちゃんは不満顔プラス困った顔になって店の雰囲気は最悪だ。そこでオレが
「一頭がレースに参加しなかったんだから賭け不成立である」オレが大岡裁きだ。
ケンちゃんは一気に晴れやかな顔になったが、マスターは不満有り有りのひょっとこ顔になった。

「しかしアポジーはパドックからイレ込んでたな。お腹から汗がボロボロ落ちてた」マスターは心配だった。
「逃げ馬だからテンションが高いくらいがいいんだけど、あれはチョット高過ぎだったな」
オレもあの発汗は問題ありと受け取った。しかし、マイルだったら何とか持つのだろうかとも思った。
「スタートがいつもより悪かったよね。少し腰を落としたところでゲートが開いた感じだったね」
ケンちゃんは良く見ていた。そう、あそこが今回の全てを物語っていた。
二の脚が速かったのですぐにハナを切ることが出来たが、そこまでにいつもより少し脚を使わざるを得なかっ
た。あれは正に「58キロ」という斤量が影響したのだろうか。道中はスムーズに走っているように見えてい
たが余裕は無かったのだろう。そしてとどめを刺したのが最後の直線の急坂である。ガクンとスピードが落ち
た。でも、終わってみれば4着に留まっているのは大したものである。

「俺は単勝一点だから諦めがつくけど、複勝持ってたヤツは熱かっただろうな」マスターはしみじみと言う。
アポジーから手広く馬券を勝ったヤツは大変っすよ。最後の直線に入って、単勝ダメだ。馬単ダメだ。3着
に落ちて、馬連ダメだ。そして4着に沈むと、複勝ダメだ。ワイドダメだ。忙しい訳ですよ」
ケンちゃんは何度も苦汁を舐めた経験談をリアルに説明する。
「その段々と気が抜けて行く様が何とも言えずに切ないな」オレはその気持ちが手に取るように分かるのだ。

ウキヨノカゼはどうだったの?」桃ちゃんはレースを見ていない。
「ブービーっすよ」ケンちゃんは親指を下げてバッディポーズ。
「あっそう」桃ちゃんは小さく呟くように返した。そして、
「浮ついて高望みをしちゃぁダメってことね」腰のポーチから単勝馬券が出て来た。
「えっ!?一点買いっすか?」ケンちゃんは驚きの表情。
「夢を勝っただけよ」桃ちゃんはサラリと言ってのけ生ビールを一気に煽った。
「女は度胸だな」マスターは手を叩いている。
「それを言うなら、女は愛嬌・男は度胸、でしょ」ケンちゃんは笑って返す。
「まっ、明日から地道に働くわ」桃ちゃんは何も無かったように煙草の煙を燻らせた。

アポジーはマイルの逃げ方を手中に入れた訳では無かった。と言うよりもコンディションの持って行き方が
難しい馬であることが分かった。当日の馬の出来を判断してから取り扱いを決めなければならない馬である
。「そんなコトはどの馬だって同じだよ」とケンちゃんは言うが、どんな状態でもレースには影響を及ぼさ
ない優れた馬に成長してもらいたいものである。

がんばれ!アポジー!期待している。

お気に入り一括登録
  • アポジー
  • テンション
  • スピード
  • ウキヨノカゼ

いいね! ファイト!