スナック・パドック　「毎日王冠」 レース前

「ソウルスターリングがこっちに回ったのは意外だったよな」マスターは納得がいかない。
「よっぽど春の関西遠征が堪えたんすかね」ケンちゃんは桜花賞３着に原因があると見ている。
「三冠レースは一生に一度しか体験できない貴重なものだけどな」オレはそう思っている。
「桜花賞を勝っていたら違ってただろうな」マスターはそこに気が付いた。
「三冠がかかっていたら行くでしょうね」ケンちゃんは腕組みをして小さく頷いた。
「連闘で秋華賞も走るなんてサプライズは無いだろうな」マスターからビックリ発言だ。
「無い、無い。絶対に無い」オレは藤沢和雄調教師がそんなコトをするはずがないと思っている。
「昔、オグリキャップがやったからな」マスターの目がキラリと光った。
「マイルＣＳを走って、翌週のジャパンＣを走ったよな」オレもあの時の感動が蘇って来た。
「それで両方勝ったんすか？」ケンちゃんは身を乗り出して興味津々だ。
「マイルＣＳはハナ差で勝って、ＪＣは世界レコード(２：22.２)の２着だったな」とマスター。
「あの連闘が無かったらＪＣ２着は無かったと言われたレースだったな」
東京・芝2400ｍで高速決着のレースに着いて行けたのは、前週に京都・芝1600ｍを走っていたからこそだった。
「連闘ってのはそういう意味があるんすね」ケンちゃんは良いお勉強をした。
しかし、この話、ソウルスターリング連闘説の何の根拠にもなっていない。バリバリの無駄話なのだ。

「ソウルスターリングは名牝になる」オレはそう見ている。
「オークスの勝ち方が物凄かったからな」マスターも同じ意見だ。
「でも、今回は牡馬の役者がガッチリと迎え撃つ用意が出来てるっすからね」ケンちゃんはそう見ている。
「その年のオークス馬がこっちの路線で走るのって初めてなんじゃないのか？」
マスターは目を閉じて記憶を辿っている。「いないだろうな」オレの記憶にも無い。
「こっちの挑戦は４歳になってからでも遅くはないでしょ」ケンちゃんは見極めの難しさに頭を痛めている。
「東京競馬場と言う広々とした舞台で能力を存分に発揮できれば、現役馬で一番強いという判断だろうな」
ダービー馬が２頭いて、安田記念を勝った馬がいる。それでも陣営は勝てると踏んでいる。

「ソウルスターリングが勝つんでしょ」桃ちゃんの頭の中はそれしか考えつかない。
「でもまだ３歳っすからね」ケンちゃんは強気の桃ちゃんをけん制する。
「人間で言ったら何歳なの？」桃ちゃんから素朴な疑問が出る。
「１５歳。中学３年生くらいじゃないのか」マスターは年齢換算が速い。
「１５歳の少女が強い青年たちに立ち向かう訳ね」桃ちゃんは生ビールのジョッキを一気に煽る。
「楽しみだわ」桃ちゃんから不敵な笑みがこぼれた。

ちまたでは衆議院が解散となり選挙モード一色である。希望の党を立ち上げた小池百合子東京都知事が女性初
の総理大臣に成るのか注目が集まっている。女性パワーが大いに炸裂して盛り上がっているのである。女性が
活躍することを望んでいると言った安倍ちゃんは、自分が掲げた旗印が現実のものと成りそうであるがそれが
敵陣で起きていることに地団駄を踏んでいる。まさか自分を踏み台にしてそれが現実化しようとは思ってもみな
かったはずである。しかし、小池百合子は大きな壁にぶち当たっている。総理大臣に成るためには都知事の
地位を捨てなければならない。国政を左右する大ごとであるからスンナリ進む方がむしろ不思議な話ということなのだろう。

ソウルスターリングはクラシック挑戦を捨てて、古馬たちに混ざって競走馬の王道を歩もうとしている。

さてさて、小池百合子は都知事の地位を捨てて、総理大臣を目指すという王道を選択できるのだろうか。

大いに注目しているところなのだが．．．。