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2017/11/28 17:47

スナック・パドック 「京阪杯」 レース後

セイウンコウセイは何かに悩んでるな」オレはパドックでの元気の無さに驚いた。
「さては女だな」マスターは小指を立てて小さくウインクを投げた。
「キモいっすよ」ケンちゃんは両手でバッテンを作って大きくダメ出しだ。
「恋の病か、十分にあり得るな」オレはジューヌエコール(牝3)が相手ではないかと睨んでいる。
「函館スプリントを勝った姿に一目惚れってか」マスターは手で胸の前に大きなハートを作った。
「そのあとのスワンSもいっしょに走ってるっすね」ケンちゃんは素早くスマホで調べた。
「函館でホの字になって、中山では彼女がいないショックで凡走、京都のスワンSでは一緒のレースで気になっ
て集中できずに凡走。今回の京阪杯はいつ追いかけてくるのか気になって気になって、またまた凡走って訳さ」
オレはこのところの彼のレースに対しての集中力の無さの理由をそんな風に振り返った。

スタートはスムーズに出て、二の脚を利かせて先頭集団を追う形で4番手の位置をキープした。前には同じ勝負
服のネロ(牡6)がいて仲良く先頭集団を形成した。集団の一番前がネロ、4番手がコウセイ。この形のまま最終
コーナーを回った。直線を向くといつもだったら鋭くキレる脚を使ってすぐさま前に抜け出すパフォーマンスを
見せるところだがモタモタしている。仲間のネロが内ラチ沿いを鋭い末脚で伸びているのに対してコウセイは馬
群の中でもがいている。ビリッとした脚が使えない。そこへ後ろの集団が脚を伸ばして来て囲まれてしまう。伸
びない。団子状態の中でゴール板を通過した。結局7着だった。二桁着順は免れたものの決して満足のいく結果
ではない。あの調教での見事な走りがちっとも生かされていない。実に勿体無い話である。

「松田に乗り替わってもダメだったか」マスターは期待外れの結果に落胆している。
「強さを知ってる騎手だから期待したんっすけどね」ケンちゃんもガックリ肩を落とした方だ。
「どこか痛いところがあるのかね」マスターは末脚がキレ無くなったのは身体の不調のせいではないかと言う。
「内臓っすかね」ケンちゃんは自分の内臓が弱いのでそっち側に心配の目は向く。
「でも調教での動きの良さはそんなコトを感じさせないけどなぁ」オレは調教VTRをしっかり見ている。
「ケイコは良いけど本番ではサッパリ、困ったもんだぜ」マスターは両手広げてお手上げポーズだ。
「逆だといいっすけどね。本番で良い走りを見せる馬が良い馬っすよ」ケンちゃんは当たり前のコトを言う。
「お前はどっちもダメそうだけどな」マスターはその言葉を置いてトイレに向かう。
「えっ?何ですって?どっちもダメ?酷いなぁ」ケンちゃんはご立腹である。

さぁ、陣営はどう立て直すのだろうか。今回は同じ勝負服のネロが内側(4番、コウセイは10番)にいて戦いやす
いと思っていた。ネロは逃げ馬だから良い目標になって、一緒にレースが進められるだろうと思っていた。最終
コーナーを回る時には少し行き脚が付いて前に出るような仕草を見せたので「今度はいいだろう」と思ったら、
そこからの伸び脚がまったく無かった。ネロを目標に上がって行ってゴール前で交わすというシナリオが、ネロ
の逃げがスンナリと決まってしまって、コウセイは戸惑って立ち往生という展開になってしまった。これでは、
どうしようもない。成す術がない。困った。

こうなったら広い牧場に戻して少しのんびりとさせてやるしかないだろう。晴れ渡る大空の元、新鮮な空気を腹
いっぱい吸い込んで、気持ちを一旦子供の頃に戻して再出発を掛けよう。素晴らしくキレる脚を持っているコト
はもう実証済みである。あとは精神的に成長してどんな場面にでも対応できる能力を身に付ければ良いのだ。

コウセイのスター復帰を願って乾杯しましょう」ケンちゃんは高々とグラスを上げる。みんなもそれに合わせ
てグラスを上げる。「乾杯〜ぃ!」

今夜のスナック・パドックは一頭のサラブレッドの復活祈願で盛り上がった。

がんばれ!コウセイ!期待してるぞ。

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