590件のひとこと日記があります。
2017/12/15 23:12
スナック・パドック 「朝日杯FS」 レース前
「きょうは桃ちゃんのために北海道のゆめぴりかを取り寄せたぞ」マスターは10キロ入りの袋を見せた。
「やっぱり米は命っすからね、嬉しいっす」ケンちゃんは喜びを素直に言葉にした。
「そして卵は群馬の情熱卵を用意したからな」マスターは気合が入っている。
「そこの卵の黄身は白と朱があるらしいな」オレにも少しは情報がある。
「そうなんだよ。俺は断然朱がお勧めだな」マスターは朱しか買ってない。
「楽しみっすね。ところで桃さんは何時に来るんすか?」ケンちゃんは待ちきれない。
「ごはんの炊き立てを食わせたいからな...まっそのうち来るだろ」マスターはざるに米を入れて洗い始めた
「お・ま・た・せ!」桃ちゃんが来店した。手提げ袋を持っている。
「来た来た、待ってたっすよ、みんなで」ケンちゃんは歓迎の意を示した。
「一日繰り上げて金曜日にしようって言うから...大変なのよ週末は」桃ちゃんは忙しそうである。そして、
「マスター、これ!」桃ちゃんは手提げ袋をマスターに手渡した。
「まだ食べてもらってもいないのにお礼を先にもらうなんて...おっ!マフラーだ」マスターは喜ぶ。
「カシミヤだから暖かいよ」そう言いながら桃ちゃんは奥のテーブルにある洗った米を見つけた。
「お礼を先に渡したからきょうは大きな顔して食べられるかな?」桃ちゃんは生中を受け取ってグィと呑んだ。
「卵かけごはんのお礼にしては高価なものをいただいちゃったな」マスターはえらく恐縮している。
土鍋で炊きあがったゆめぴりかの煙が立ち上り、米の甘い匂いが店内に漂った。
「う〜ん、いい匂い」桃ちゃんは目を瞑って鼻をクンクンいわせて匂いを味わっている
「よ〜し、炊き上がったぞ」マスターは小ぶりなドンブリにご飯をよそい始めた。
「楽しみねぇ〜!」桃ちゃんはさっきからずっと笑顔だ。
「さぁ、どうぞ」マスターは桃ちゃんの前にご飯を置いた。さぁここからが美味しい卵かけごはんを食べるため
の儀式が始まるのである。前回も食べたオレとケンちゃんは手順通りに卵かけごはんを作っていく。桃ちゃんは
初めてなのでケンちゃんの手順を真似して作る。「あっ!黄身が割れちゃった」桃ちゃんは初歩的ミスを犯す。
「いいよ、いいよ。白身をかけて混ぜてなよ」マスターは慣れた手付きで黄身だけを小皿に盛り付けている。桃
ちゃんは白身が混ざったご飯を差し出す。マスターが小皿の黄身をドンブリに落とす。桃ちゃんはニッコリ微笑
む。少量の醤油を差して...混ぜ混ぜ...出来上がり〜!
桃ちゃんは箸を使って卵かけごはんを勢い良く口に掻き入れた。
「美味〜い!美味〜い!...幸せ〜!」桃ちゃんは少し涙ぐんでいる。
マスターは満面の笑みを浮かべてその姿を眺める。「良かったなぁ」みんなが幸せなひと時を過ごした。
「オレは◎フロンティアで行く!」楊枝でシーシーしながらオレは呟くように宣言した。
「同厩舎の人気になるダノンプレミアムと同枠っすね」ケンちゃんは久しぶりに枠番を意識している。
「1−1か?」マスターはその言葉の響きに満更でもない表情を浮かべた。
「馬連の1−2よりも枠連の1−1の方がツクことがあるからな」オレはその現象に度々出くわす。
「俺は馬連で行こうかな?」ケンちゃんはその方がツクと見たようだ。
「俺は枠連で行くぞ!」マスターはその逆が真なりとお坊さんのような心境だ。
「オレは2−1の馬単で勝負だな」少しでも配当がいい方を選ぶのが人間の欲というものである。
「森厩舎のイシマツに加藤(勝とう)が乗るのはオシャレじゃない?」さすが桃ちゃん、目の付け所が凄い。
「食いねぇ食いねぇ卵かけごはん食いねぇ...ってか?」オレは桃ちゃんに相槌を入れる。
「しかし、そんなのが飛び込んで来たら大騒ぎだぞ」と言いながらマスターは1−8も抑えるようだ。
「特上卵かけごはん」と掛けまして「千利休のお茶」と解く、その心は「マッタリ感が絶妙です」ふむふむ。
若き青年たちが走って競う「朝日杯FS」、マッタリとした雰囲気のレースには成りようが無いが来年のクラシ
ックを占うレースのひとつであることに間違いは無い。元気ハツラツ!ファイト!と声援を送る。