スナック・パドック「マイルＣＳ・終えて」その１

留「ありがてぇ〜！三連複１,９６０円〜！いただき〜！」
マスター「俺は手堅くワイド６３０円、一点勝負でゲット！」
ニシ「３連単５,４６０円、ゲット！気持ちいいっす」
オレ「なんだよ、仲間外れは俺だけかよ」
留「ニシ！きょうはお前の奢りな」
ニシ「えっ！俺？だって投資金額が違うじゃないっすか」
留「そういう問題じゃぁねぇんだよ。デカい馬券とった時は気持ち良くバーンって行くんだよ、バーンって」
マスター「そうだぞ、行ける時行っとかないと後悔するぞ」
オレ「まっそういうことだな」
留「ニシ、そんな悲しい顔すんな・・・まっここはこの留さんが気持ち良く面倒みるとするか」
ニシ「よっ！留さん！日本一！」
留「この野郎、相変わらず調子がいいヤツだな」
オレ「馬券とってご馳走になって・・・西ちゃんは幸せ者だぜ」
マスター「ニシ、そんなコトじゃぁツキは逃げるぞ」
留「こいつにそんなアドバイスは無駄だよ、無駄！」
オレ「だな」
結局留さんの奢りで飲むことが決まったところに妙齢の女性がパドックの扉をガラリと開けた。
チエ「あら、またいつもの反省会？」
マスター「それがさ、きょうは祝勝会を開いてるんだ」
ニシ「留さんの奢りでパーッとやるトコなんっすよ」
チエ「留さんには悪いけどここはわたしに奢らせてくれない？」
マスター「おや？行ったのかい３連単をゴッソリ」
留「そうかグランが頭で来たからな」
チエ「キッドを教えてもらったから良い馬券がとれたのよ」
ニシ「やったっすね。おめでとうございます」
留「そりゃぁおめでとう！どうぞどうぞ遠慮なく仕切っちゃってくださいよ」
マスター「そうか、それじゃぁ改めてチエちゃん主催で祝勝会を開きますか」
きょうのスナック・パドックは、チエちゃんのお陰で開店以来一番明るく賑やかな店内となりそうだ。
グランアレグリアのスタートは、ルメール得意のそっと出しで後ろから数えた方が早い順位で出た。内でやはり遅らせてゲートを出たシュネルマイスターを見る形の展開となった。ハナを切ったのはホウオウアマゾン、矢作厩舎の張り切りボーイ・坂井騎手が後輩の古川菜穂ちゃんの活躍に刺激されて元気一杯に跨っている。サリオスが３番手。７番手にシュネル、９番手にキッド、13番手にグランという並びで淡々とレースは進んだ。動きが出たのはスパイラルカーブ後半を回った地点、グランにスパートがかかる。外に持ち出してウィニングロードが広がる。シュネルは内のゴチャついたところにいて出るに出れない。やはりゴチャついている中団にいるキッドは直線に向いた時にグランに並ばれる。シュネルは内のまま順位的には２頭と同じような位置である。さぁここからが末脚の見せ所となる。先に動いたのはシュネル、だが前が詰まって前を塞がれる。キッドは中を抜けて脚を伸ばす。その外からグランがスパートをかける。残り２００のハロン棒付近でルメールの右ムチが激しく飛ぶ。残り１００ｍで先頭集団に襲い掛かったグラン、前の壁を左に避けて抜け出して来たシュネルも脚を伸ばす。真ん中を割ったキッドも脚を伸ばす。グランが先頭に立ったのはゴール手前１５ｍ地点。１馬身差でシュネルが、半馬身遅れてキッドがゴール板を駆け抜けた。壮絶な叩き合いとなった最後の直線。見応えがあった。