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2021/12/17 20:06
スナック・パドック「朝日杯フューチュリティS」その1
オレ「朝日杯と言えば忘れられないのがマルゼンスキーだな」
マスター「おぉ!あの馬は化け物だったからな」
オレ「8戦8勝、2着馬との合計着差が61馬身だったんだから凄いだろ」
ニシ「そ、そんな馬がいたんすか?」
マスター「当時の持込馬はクラシックに出られなくてモメたんだよな」
オレ「主戦の中野渡が『大外でいい賞金はいらないダービーに出たい』って言ってな」
マスター「橋本聖子のお父さん・善吉さんの持ち馬で裁判に持ち込む用意があったっていうじゃないか」
オレ「有馬記念でトウショウボーイ、テンポイントと闘う姿をぜひ見たかったな」
留「で?闘ったのかい?」
マスター「脚部不安で出走回避さ」
オレ「すでに種牡馬としての未来は開けていたからな・・・止めさせたんだろうな」
マスター「価値を下げないために無傷で引退させたんだな」
オレ「あの2頭と走っても負けなかったと思う」
マスター「俺もそう思う」
留「凄い馬がいたんだな」
ニシ「善吉さんで"マルゼン"はいいんすけど、"スキー"は"スケート"じゃないんすか?」
留「娘の聖子はスケートのオリンピック選手だからな」
マスター「お前ら"ニジンスキー"を知らねぇのか?」
オレ「大種牡馬だぞ」
マスター「悲しくなるな」
留「泣くなマスター、競馬の歴史を語るには深〜い知識を必要としている訳なのさ」
オレ「お前が言うな」
マルゼンスキーは、キーンランドセールでイギリス三冠馬・ニジンスキーの子を受胎しているシル(父:バックパサー、母:クィル・14勝)を高額で橋本善吉さんが購入して1974年5月に日本で産まれた馬である。持込馬といわれ外国産馬と同じ扱いを受けることとなった。クラシックへの出走権は無いし重賞レースへの出走権も限られていた。本郷厩舎所属となるのは橋本さんの希望だった。新馬戦(中山・芝1200m)は大差、次のいちょう特別(中山・芝1200m)は9馬身差を付けての圧勝だった。3戦目の府中3歳S(東京・芝1600m)は、5頭立だが北海道3歳Sを制したヒシスピードが参戦しており注目された。このレース、騎手の中野渡は"どう乗っても勝てるんだから相手が並んでから追えばいい"なんて悠長に考えていたら、直線半ばでヒシスピードが猛追して来て慌てて追い出したが、馬も騎手も実際にはすぐに対応できず初めてのピンチを迎えることになる。がしかし、馬の能力は素晴らしく何とかハナ差競り勝つことが出来た。そして、迎えた朝日杯3歳S。本郷調教師は初めて調教で一杯に追い準備を整えた。中野渡騎手には"壊れてもいい目一杯追ってみろ"と指示を出した。スタートから順調に飛ばして今回は緩めることなく直線でも目イチの追い出しを決行してライバル・ヒシスピードには13馬身もの差を付けて圧勝した。レースレコードでの勝利だった。
留「今年の朝日杯にマルゼンスキーはいるかい?」
オレ「あれだけの馬はそうは出ないぞ」
マスター「いたら単勝1.0倍、元返し・・・だからな」
ニシ「レース観てシビレまくって元返しじゃ面白くないっす」
留「今はいいさ、馬券がいろいろあって組み合わせによっては万馬券になるからな」
マスター「主役はセリフォスでいいんだろ」
オレ「出遅れの程度によるんじゃないか」
ニシ「ナミュールしちゃったらアウトっす」
留「屋根は同じCデムーロってのがミソだな」
マスター「ミソだけにしょっぱいな」
今夜のスナック・パドックはマルゼンスキーという懐かしい怪物馬の話題で盛り上がった。ライヴで観ているオレとマスターはあの輝かしい曲線美を思い出しながらの一杯となり、いつもより酔いの回りが早いし深い気がするのである。日本競馬史上最強馬だったのではといえるマルゼンスキー、今宵の酒のツマミに最適なのは言うまでもない。今年の朝日杯の行方は如何に・・・。