スナック・パドック　2022年「有馬記念」その１・2/3

バタン！カラカラン！とドアが開いた大きな音とドアに取り付いているベルが鳴る音が部屋に広がった。配管職人のフクちゃん登場だ。
カウンターのいつもの席に着くと早速競馬新聞を広げてマスターが作ったハイボールをグィッと飲んで喉を潤した。
フク「いよいよ有馬だな」
マスター「フクちゃんにとって有馬とは何？」
フク「オグリキャップでしょ」
ガミ「来たよ、来たぁ〜！」
オレ「オグリは有馬２勝してるからな」
フク「タマモクロスに勝った１回目の優勝は３歳の時だったな」
マスター「３歳馬で勝った馬って結構いるだろ」
オレ「いるいる。三冠馬のシンボリルドルフやナリタブライアンを始め19頭もいる」
ガミ「３歳馬っすか」
マスター「やっぱりイクイノックス◎でいいんだよな」
フク「でも５回走って右回りコースは中山の皐月賞だけってトコが気になるな、しかも２着だしな」
ガミ「陣営は左回りコースを選んで走らせて来たってコトっすよね」
フク「そこだよ、そこ・・・そこがどうなんだ？」
オレ「大丈夫・・・右回り・・・大丈夫！」
マスター「頼む！俺が安心出来る説明をお願いします」
オレ「イク君は府中のあの長い直線(526ｍ)を手前を替えずゴールまで左手前で一気に駆け抜けて来た。生粋の"左利き"だ」
フク「左利きなら左回りコースが得意なんじゃねぇの？」
オレ「チッチッチッ！右回りコースは最終コーナーを必然的に右手前で回り直線に向いたらリフレッシュのために左手前に替えて直線の短い(310ｍ)中山なら左手前のまま一気にゴールに向かって走り抜けるんだ。最後の最後に力を出すために左手前で走るためには"左利き"が有利なんだ」
マスター「そうか、そういうことか・・・イク君◎で行けるな」
フク「皐月賞でジオグリフに交わされたあの瞬間はバタッと脚が止まったように見えたな」
ガミ「そうっす、止まったっす・・・それと"左利き"だったら左手前で最終コーナーを回った後に素直に右手前で直線を走って勝負所で左手前に替えればもっと左利きが活かせるんではないかと思うんすけど・・・」
・・・続く