スナック・パドック「2023ヴィクトリアマイル」その３

マスター「ところでスターズオンアースの調教の動きはどうよ？」
オレ「いいね、いつも通りの柔らかい身のこなしで身体能力は高い」
ガミ「この馬の能力も高いっすからね」
フク「この馬、スタートが悪いんだろ？」
マスター「前走はゲートが開いた瞬間に立ち上がってたな」
ガミ「ゲートの継ぎ目の枠で開閉器の音に驚いたみたいっすね」
オレ「前々走は両枠の馬が同時に寄って来てパチンコ喰らったからな」
マスター「どの枠に入るのかは大きいな」
フク「追込み馬だからスタートは関係ないんじゃねぇの？」
ガミ「今回はマイルっすからスタートは大事っす」
オレ「この馬のパドックでの歩きはバネが利いて能力の高さを見せているよな」
マスター「そう、そのバネの強さが最後の直線の追込みに生きてる訳さ」
ガミ「クリストフの脚質でもあるっす」
マスター「誰だ？それ？」
フク「騎手仲間じゃねぇんだからファーストネームで呼ぶな、ルメールって言え！」
オレ「ガミは成りきるからね」
マスター「騎手って身体じゃねぇな」
ガミ「１カ月あれば作れるっす・・・あの身体に」
オレ「お前の痩せた身体は想像つかないぞ」
フク「ボヨ〜ンがシャキっと成る訳ねぇだろ」
オレ「ライザップにでも通うか・・・ん？」
マスター「良い枠を引き当ててくれよ・・・頼む！」

みんながガミの緩んだ身体をのんびり眺めている時、マスターだけはスターズオンアースの枠順を気にするのであった。「大外枠か最内枠」大外枠だったら他馬に邪魔されることなくスタートが切れるし、最内枠だったらルメール得意のゆっくり出しでもロスは少ない。「どっちかを頼む」マスターは両手を合わせて天井に願いを届けている。「その願い、受け取りましょう」ガミは子供のような笑顔で天使に成り切っている。「ありがとう」マスターは夢心地である。何だかふんわりとした空気に包まれた本日のスナック・パドック。マスターの願いは届くのか？