スナック・パドック「2023ヴィクトリアマイル」その４

ガミ「ソダシが大外っすね」
マスター「先に行きたい馬が外に回ったぞ・・・どうする？」
オレ「行くんだよ・・・行くしかないだろ」
マスター「ビューンビューン飛ばしてその勢いで逃げる手だな」
ガミ「ゲート出て向こう正面の直線が長いっすから真っ直ぐ走ればいいっす」
オレ「そうだよ、真っ直ぐ走ってみんなを離してから内に動いて最初のコーナーを迎えればいいんだよ」
マスター「右手前で走らすんだろ」
ガミ「騎手が体重を移動すれば馬は反応するらしいっす」
オレ「レーンだからその辺は抜かりが無いだろ」

バタン！カランコロン！店のドアが勢い良く開いて鐘の音といっしょにフクちゃん登場である。

フク「ソダシは大外引いたな」
ガミ「今その話をしてたんすよ」
マスター「レーンがスタートで手前を替えさせて逃げを打つんだってさ」
オレ「外の馬場の良いところを走ってスピードに乗るぞ」
フク「いいね・・・ビューンビューン飛ばして一人旅を期待しようぜ」
ガミ「レーンなら上手にスタミナ配分してくれるっすよ」
オレ「泥の一粒も付かないキレイな白毛のまま帰ってくるぞ、きっと」
フク「いいねいいね・・・白馬の天使の逃げ切り勝ち・・・いいね」

と意見がまとまって同じ方向を見つめる三人だが、ひとりマスターだけは違う方向を見ている。ソダシがレースを速く運ぶことでアースの末脚が生きる展開になると読んで内心ニコニコなのである。しかも、２番枠という内枠を引いてゆっくり出てもロスが少ない好枠だとニコニコの２乗で喜んでいる。「きょうはこんなのでどう？」と言ってみんなの前に小さな鍋が出された。「薄ら寒いからきょうは湯豆腐にしたよ」マスターが鍋の蓋をとる。中には昆布が敷かれてその上に木綿豆腐が置かれている。「こりゃぁダシが利いて旨そうだな」フクちゃんは大喜びである。すかさずマスターが「ソダシ！」とＶサインを作ってニッコリ笑う。さぁどっちの陣営の作戦がハマるのか大いに見ものとなる今回のヴィクトリアマイルＣである。