スナック・パドック「2023安田記念」その１・レース後

マスター「シュネルで行けると思ったけどな」
オレ「セリフォスがパドックでは一番良く見えたな・・マイルＣＳと同じくらいの出来だった」
ガミ「ソダシの丸みのある馬体はセクシーだったっす・・ガイアもキビキビした動きで良かったっす」
マスター「お前は白毛を見るともう釘付けだもんな」
ガミ「美しいっす・・とにかく美しいっす」
オレ「ソングは府中のマイル適性が抜群だってのを見てるから、状態は脚を引きずってなきゃ良しって判断だったな」
マスター「少し首を上下させていたけど問題無しだったぜ」

バタン！カランコロン！店のドアが勢い良く開いて鐘の音といっしょにフクちゃん登場である。

フク「いやいや・・ジャックでやったと思ったけどな、チッ！」
ガミ「武豊は勝てるケイバをしたっすよ」
オレ「府中のマイルはスピードだけじゃ勝てない」
フク「セリフォスに抜かれてソングにも抜かれて・・」
マスター「大外からシュネルが・・ゴール板過ぎてから１着になってたぞ」
ガミ「それならガイアが２着っす」
オレ「ジャック５着、ソダシ７着ってのはコース適正の差だな」
ガミ「ソダシだって見せ場はあったっす」
マスター「何てったってソングが無駄のない理想的なレース運びで完勝だった」
フク「強いメンバーが揃ったこのレースで大外枠から難無く勝つんだから強いよな」
ガミ「あんなしっかりとした脚取りで走った牝馬はアーモンドアイ以来っすね」
オレ「この秋はどんなレースプランを立てるのか・・見ものだな」
マスター「府中にこだわった方がいいのかね？」
オレ「天皇賞・秋・・行ってみよう！」

きょうもマスターがジャックダニエルのハイボールをみんなに配って安田記念の残念会と相成った。フクちゃんが「俺のために・・ありがとう」とお礼を言う。「ジャック・・だけにな」マスターが頷く。フクちゃんが「◎ソング・〇セリフォスで何で馬券がとれない訳？」と不満をぶつけた。「知らねぇよ」オレはフクちゃんに背中を向けてぶっきら棒に返事をした。そそっとガミがフクちゃんの耳元に寄って来て「ソダシが外せないんすよ」小声で囁く。それを聞いたフクちゃんは何度も小さく頷き「好きになった女は簡単に忘れることは出来ない、男のサガだよな」四人の目が少し遠くを見つめて今宵のスナック・パドックには寂しい夜風が吹き抜けていた。