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2024/12/20 15:29
スナック・パドック「2024年・有馬記念」その2・オグリキャップ・Part3
このレースには前年のダービー2着馬・メジロアルダン(黒鹿・岡部)とその年の天皇賞春と宝塚記念を勝っているイナリワン(鹿毛・柴田人)が出走して来た。逃げるレジェントテイオーをアルダンが早目に捕まえに行きレースをものにすると思われたのも束の間、オグリが上がって来て抜け出す。そこへ後方待機していたイナリワンが猛然とスパートを掛けて追い込んで来る。ゴール前の2頭の叩き合いは壮絶なものがあった。それは鞍上の南井と柴田人の壮絶な追い比べでもあった。この二人のアクションは激しいので有名だが、人間のアクションの大きさと馬のアクションの大きさが相まって、正に壮絶なデッドヒートとなった。前にいるオグリにイナリが鼻面を合わせに行ったところがゴールだった。長い写真判定の結果は「ハナ差」オグリが前に出ていた。このレースを観ていた競馬ジャーナリストの鈴木淑子は思わず「レースオブザイヤー」と叫んで大きな瞳を潤ませていた。本番の天皇賞秋はスーパークリーク(鹿毛・武豊)にクビ差届かず苦渋を舐めたが、次のマイルCS(京都芝1600m良)にはドラマが待ち構えていた。通常、天皇賞秋を使った馬はジャパンカップ(東京芝2400m)を次のレースに選ぶのだがオグリは間にこのマイルCSを入れた。このレースはJCの一週前に行われるのでJCを連闘で使わざるを得ないローテーションとなる。素人目に見てかなり無謀と思われた。がしかし、陣営の思惑はJCの為のステップレースと位置付け、このレースに臨んだのだった。このレースの最大のライバルは武豊鞍上のバンブーメモリー(栗毛・武邦彦厩舎)であった。レースは中団の前を進むオグリを4角で捕えに行ったバンブーが直線で前に出て勝利を手中にしたと思われた残り200mから南井のムチとアクションに押されてオグリが地を這うような低い姿勢で伸びて来た。グイグイと馬体を伸ばしてバンブーに合わさり鼻面を合わせたところがゴールだった。このレースも「ハナ差」オグリが前に出ていた。その時に思った。この馬はゴール板の位置を知っている。どこをどう走れば「ハナ差」前に出るのかを知っている。この究極の凄さがオグリなのである。これが究極の雑草魂なのである。
・・・続く・・・