19件のひとこと日記があります。
2018/01/28 23:02
偽美談 第1章
少しだけ私事を話すと、(←この時は少しだけのつもりだった。ハッキリ言って長くなる。すまない。)自分は個人事業主をやっている。小さな会社だが、それなりに色々と大変なことも多くしんどい時もある。
そんな自分にとって、競馬での一喜一憂はまさにストレス発散。
その間はすべて忘れることが出来るし、不思議と頭をリセット出来るのだ。
今回は自分の身に起こった不思議な競馬体験談をここに残したい。
内容は皆無だが、自分の為に記した。
少しだけと言いながら、信じられないほど長くなることを断っておく。
自分の競馬歴は20数年だが、仕事の独立の為10年ほど競馬を離れた。
競馬以外の趣味も含め、禁欲を決め込みひたすら働き、独立した仕事を軌道に乗せるために全てを費やした日々。
そんな去年の盆のある日、突然体調を崩した。
精神を病んでいると医者から告げられるまでは自身では全く気が付かなかった。
仕事に尽くした日々には後悔はないが、競馬を始めとした趣味を絶つ、すなわち息抜きを忘れるというのは良くない選択だった様だ。
自分には嫁と子供が3人いる。
情けない話、体調を崩して以来家からほとんど出られなくなり、仕事の方は嫁さんが自分の代わりとしてやりくりしてくれていた。
仕事と家事、そして自分と子供の世話。
本当に申し訳ない気持ちしかなかったのだが、どうしても何も出来なかった。
そんな引き篭もり同様の生活が2ヶ月ほど過ぎた昨年10月終わり、何もやる気が起こらず、昼過ぎに何気なく点けた居間のテレビ。
そこに映ったのは、土砂降りの田んぼの様な不良馬場の中を、全身を黒光りさせながら先頭で駆け抜ける、一頭の大きな黒鹿毛馬だった。
その目の覚めるようなコーナーインを突く爆走劇に、食い入るように画面に釘付けになったのを今でも昨日のことの様に覚えている。
「これがあのサブちゃんのキタサンブラックという馬か。秋天か、そうだ、競馬があった、そうだった。」
仕事に追われて忘れていたが、自分には大好きだった競馬があった事を思い出したのだ。
体調を崩してからすべてに消極的で何一つ興味がなかったが、これには不思議と身体が反応した。
前向きになれるなら何でもいい。
それからというもの10年振りにのめり込んだ。
「ただ競馬をやるんじゃつまらない、何か目標を作ろう。」
そこで思いついたのは、世話になりっぱなしの嫁さんへの詫びだった。
随分前のこと、嫁さんがとある指輪を欲しがったのだがちょっと高額で手が出せず先送りにしていた。
「馬券を当ててアレを買おうじゃないか。よし、決めた。」
まずは資金が必要だ。
その資金はもちろん自分で作り出したかったが、嫁さんにすべて渡していたのでいかんせん手持ちがない。
どうする。
まずはオークションで私物を手当たり次第売り捌いたが、作れたのはほんの4万円足らず、嫁さんが欲しがった指輪には15万円程足りなかった。
まぁいい、準備は整った。
負けられない戦いが始まったのだ。
続く…