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2018/01/29 10:43

偽美談 第6章

この日は良い滑り出しだったが、続くG2 阪神C。

イスラボニータの引退戦となったレースだったが、ここで熟考の末に判断を誤る。

直前まではイスラボニータサングレーザーで軸を迷っていたのだが、なぜかモズアスコットが強烈に気になり始めた。

しかも圧勝までしてしまうのではないかとさえ思い始めるともう止まらない。

データ的には絶対に無いパターンでありながらも、この馬なら覆すのでは?と思うほどこれまでの勝ちっぷりに惚れ込んでしまったのだ。

軸をモズアスコットに、相手をイスラボニータサングレーザーダンスディレクターレーヌミノルに絞って馬単4点1点5000円勝負。

もちろん残念な結末だ。。

この日2戦1勝、目標に近づき掛けたがまた振り出しに戻った形になった。

しかし負けてはいない、まだ明日に繋げられる。

いよいよ本当に最後の最後の戦いを迎える。

資金は60,000円前後、約200,000円程という遥か先の目標に辿り着けるのか…。

メインの結果を確認した後、早々にボールペン片手に日曜日の予想が始まる。

どのレースで勝負をするのか、夕飯もそこそこにただただ馬柱を眺める自分は、ふと受験生の頃を思い出したのだった。

あの時もそうだった。

うちは公務員のサラリーマン家庭だった為、公立高校にしか行かせられないと言われていた。

しかし元来スロースターターだった自分は全く勉強に身が入らず、滑り止めに受けた、名前さえ書けば受かると言われたレベルの私立でさえ見事に落ちてみせる。

残すは公立1校のみ。

夏休み前の三者面談の席で親を前にして、今のレベルならランクを下げなければ絶対に無理だと担任に言われてしまうほど、学力は足りていなかった。

担任「今のままでは無理だねー。偏差値的に20以上足りない。」

俺「やってみなきゃわからない、もし受かったらどうする?」

担任「いや、無理。絶対無理だよ。」

俺と親「…。」

担任の言ったことは至極真っ当である。

しかし自分は、

絶対無理だと?
上等じゃねーか。

若さとはこんなものか、ダサすぎて嫌気がさすが、この時初めてやる気になった。

頑なに志望は変えないと担任に伝える。

この上なく苦い表情を浮かべながら腕組みをする担任の顔は今でも鮮明に覚えている。

あんなことを言われてしまうとは俺も舐められたものだ、それからは「担任を見返す」というただの逆恨みとも取れる不純な反発心だけで猛勉強の日々が始まった。

うまく担任の発破掛けに乗せられたのだ。

ここはプライドにかけてどうしても落ちるわけにはいかなかった。

夏から秋にかけて基礎問中心の復習のみで偏差値を15上げた。もともと底辺、乾いたスポンジみたいなものだ、吸収率しか無いのだからやればそれくらい上がるのは珍しいことでは無い。

メキメキと力を付けたその年の冬、初めて模試で合格ラインに到達した。

ちなみにその合格ラインとは競馬で例えるなら、1600万クラスといった所だろう。

当時の自分の学力が、だいたい未勝利レベル程度とくれば、目標は1600万だとしても、2クラス上の格上挑戦で見事1000万を勝利するというはなかなか容易ではない。

勉強という名の坂路調教は続く…

いよいよ本番まで僅かとなった受験の1週間前なって、勉強による寝不足が祟ったのかインフルエンザを発症、まさかのネッパツである。

これには参ったがとにかく寝た。

ハプニングも無事に乗り越えて迎えた本番、全くわからない問題も特になく、なんとか終わった。

無事完走である。

試験結果が出るまでの日数が辛かった。

確定前の写真判定である。

鼻差で良い、なんとか残っていてくれ…そう祈り続けた。

結果発表の日、文字通り掲示板の前に立ち自分の番号を探す。



あった。。

あるじゃないか。。

見事に格上昇級である。

どうにか公立進学を掴み取った。

自分にとって最初の成功体験だった。


そうだ今回だって…。

受験ほどの大きな事でも何でもないただの馬券勝負だと思われると思うが、自分にとってはそうでは無かった。

何か大切なものがそこにはあったのだ。

そして奇跡の快進撃が幕を開ける…



続く…

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