恵美ちゃんの手記:１１月になってしまいましたが、続けます。

船に揺られて、伯父の家に着くと、父もやって来ました。父は兵器補給しょう(武器弾薬の集積･補給)に勤めていて、暁部隊(陸軍船拍司令部)に行く途中、電車の中で被爆したのです｢住吉橋で兵隊と一緒に川に浮いている死体の引き揚げ作業をてっだってきた｣と父は言いました。
ところがその後、父は目が見えなくなり、
全身癌を発症したのです。
古い浴衣布で作った父のオムツが、腸が溶けたような大量の血膿で染まっていたことを今でも覚えています。
病気の洗い場では、同じ様な状態の患者の家族たちが、血で真っ赤になったオムツを洗い、干していました｢この先どうなっていくのやら……｣ とみんな一様にため息をつきながら。
次々に人が死んで行きました。父も十年余り後、五十三歳で亡くなりました。

被爆後、私も体調を崩し、最初はひどい下痢に悩まされました。次に髪の毛が抜け出し、坊主頭になってしまいました。弟たちも同様に頭髪が抜けて坊主頭なので、それほど恥ずかしさも感じなかったです。
人に聞かれても｢(髪は)ピカドンに食べられた｣ と、みんなを笑わせていました。
被爆しても、無傷で元気だった人が、翌朝、突然、全身に小豆大の斑点が出て亡くなる。またある人は……