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2020/10/17 00:04
杉山晴紀調教師とデアリングタクト
投稿時点では明日となるデアリングタクトの牝馬三冠。
牡馬の三冠もそうだが、実績間もない実働5年の調教師が三冠馬を手掛けるのは異例で、38歳という若さだ。彼のように若い調教師は珍しいことでもないが、先に述べた通り、三冠馬クラスを手掛けるというのは服部正利調教師(子息が服部利之調教師)のキタノカチドキ(当時43歳)さえも超えてしまっている。
現在の勝ち星は全国リーディング5位(2020/10/16)の34勝で、4位が藤沢和雄調教師の36勝(グランアレグリア)、1位が矢作芳人調教師の46勝(コントレイル)となっており。この間の数多くの調教師とは馬質が明らかに違う。まず、2018年に調教師として開業した際、不慮の事故による後遺症から日吉正和調教師、定年退職した目野哲也調教師の管理馬の一部を引き継ぐ形で開業。日吉調教師からはウインテンダネスにおいて目黒記念を、目野調教師からはケイティブレイブでJBCクラシック(京都開催)をそれぞれ制覇し、その手腕を見せた。そして、自分の目利きで選んだ馬がデアリングタクトである。また、ミスニューヨークも秋華賞出走と各々の管理馬で挑戦する。
調教師の腕前より、その考え方がちょっと違う。
昨今社台ファームやノーザンファーム、特に後者の馬が走るため、言葉は悪いが「それに甘えたい」調教師がいるのだが、杉山調教師はそれに同調せず。ノーザンファームは外厩制度で管理する調教師は「名義貸し」さえとられるほどの実績を上げているし、藤沢和雄調教師さえも例外でないのだが、彼は全くそれに与ることなく「自己流の仕上げに拘る」。
今年の2歳馬は自分の目利きで選んだと思える馬が多く、特定の馬主や生産者への偏りが全く見られない。
また、騎手起用に関してはケイティブレイブの馬主である瀧本和義氏から徳を解いたのか、調教助手兼主戦騎手としてもお世話になっている長岡禎仁騎手(高橋亮調教師所属)に乗せたりと。所謂「実績重視」「騎手マネジメント」に偏らない起用もみせている。ルメール、デムーロ、武豊などなど実績ある人から、福永祐一や和田竜二の中堅中年、北村友一や松山弘平(デアリングタクト騎乗)の若手実績者、松若風馬、吉田隼人、岩田望来、加藤祥太、女性騎手藤田菜七子各々騎手と…その起用は「馬主の空気を読む」「馬の性格に合わせた」柔軟性に富んだものである。
はっきりいって、この手のやり方は今までの調教師とは一線を画している。最も他の調教師も杉山調教師のやり方を理想としている人もいるが、中々上手くいかない、生きていくには仕方ないなどの理由はあるが、そんなこと耳を貸さずに「己の道を行く」そのものである。
かの服部正利調教師も武邦彦、福永洋一、河内洋、田原成貴の関西トップ騎手起用していたので(当時は実績重視の騎手を選ぶという考え方そのものがなく、所属騎手ありきな時代)とは非て似ている部分もあるが、自己流の仕上げやり方で馬を勝利へ、そして、馬主さん生産者さんから、騎手からも信頼を勝ち取る。
「実力実績が伴っている」からこそ、信頼・人望も集めるのは当然も、これほど上手くやり繰りする調教師は日本の調教師の歴史を塗り替える、代表馬がデアリングタクトなのだろうか。
まだ、デアリングタクトは秋華賞を制覇してないが、こういうことを書いたからには応援したくなるものだ。
最後に、杉山晴紀調教師に注目したきっかけはケイティブレイブからである。ケイティブレイブもケイティクレバーも大きなところとれるだろうか。
※追記 2020/10/18 18:18
デアリングタクト秋華賞制覇、おめでとう。