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2021/11/02 07:22
横山武史騎手の飛躍
2021年11月2日の時点で勝ち星84勝(全国5位、関東1位)となっている。ただし、関東1位である武史だが、クリスフトフ・ルメールが関西を拠点しながらも関東馬に乗る(というより藤沢和雄厩舎及びノーザンファーム関連の競争馬)ことが多いため、事実上の関東2位の成績である。
とはいえ、武史騎手の勝ち星と大レースの3勝は揺るぎないものである。
今回取り上げたいのは「20代前半の大レース(8大競争)」の3勝。8大競争は皐月賞、東京優駿(ダービー)、菊花賞、桜花賞、優駿牝馬(オークス)、天皇賞春と秋、有馬記念の8つ。
現在ならジャパンカップ、宝塚記念、安田記念も含めればほぼ11つが日本における最も格式あるレース(世界が認める50ある大レース)。
8代競争を20歳代で3つ、4つと制覇した括りなら数多くいるが、20歳前半となれば戦後において武豊騎手のみである。戦前なら前田長吉騎手。
前置きが長くなったが皐月賞と天皇賞秋をエフフォーリアで。菊花賞ではタイトルホルダーで。
特に菊花賞を大胆な逃げ戦法で勝つくらい度胸ある騎手は20歳前半だった福永洋一騎手ただ一人。
通常の勝ち星でグループ別に探れば
エフのほうが日本一の生産者であるノーザンファーム関連で、タイトルがそれに次ぐ組織生産者になりつつある岡田スタッド(去年のデアリングタクトと同じ)なので、特定のグループに依存しない、幅広い馬主や生産者からの依頼で結果を出している。対するルメールは7割以上がノーザンファームとそれに関連する馬主調教師グループ。武志はその「おこぼれ(代役)」に預かることが多いが、それ以外の馬主調教師グループの依頼も受けている。特に若手調教師グループの依頼は断トツに多い。
実は横山武志騎手は今まで破ったことのないノルマを達成しようとしている。それは20歳前半による関東ナンバーワン騎手の座。大レース請負人。
今まで昭和時代まで遡れば郷原洋行、中島啓之、大崎昭一、岡部幸雄、柴田政人、小島太など若くして関東の大レース請負人の地位を獲得したが、平成時代に入ると途絶える。武志の父横山典弘もその請負人になったのは20代後半でそれも長続きせず、蛯名正義騎手も。また、柴田善臣、田中勝春らもいたが、大レースという括りでは中堅。北村宏司や三浦皇成も20歳前半から躍進期待されたが、怪我などで全く結果は出ず。また、平成は関西・地方・外国人騎手を関東の調教師が地域問わず幅広く受け入れた時期であり、ますます関東の騎手は地の底へ追いやられた。
令和時代の初めにそんな低迷する関東所属騎手に新星、躍進できる存在こそ横山武志騎手である。関東の調教師もこうした20歳前半で大レースを任せられる、請負人が登場待ち焦がれていたに違いない。特に昭和を知る調教師グループらは。父の典弘も岡部の存在で出番が回らず、回った辺りから低迷していったことを含めると、頼もしい人間になったと思う。一個人としては菊花賞を強気な逃げ切りで制覇した度胸の強さは、今までの関東の騎手にないものを感じた。感じたこと、それは「上の奴を蹴落としてやる」という気迫だ。
上の先輩とはなれ合いはしても、レースとなれば闘争心むき出し、技術と経験が伴えば20歳中盤となれば老練な騎乗ができてくるはずだ。
横山武志騎手が関東の、日本のトップジョッキーになることを期待したい。