勝ちに飢える

勝利への執念は疑いようがない。試合中
に組まれた円陣で熱く語る筒香嘉智の姿、
熱い目頭を押さえる上茶谷大河。ベンチ
の熱は衰えない。筒香嘉智が叫ぶ。久々
登場の守護神も、望まぬマウンドに堂々
と立ち、背中で仲間を鼓舞した。結果を
恐れずに宮崎敏郎はバットを振り続ける。
選手は全員必死だ。勝ちたい気持ちは、
伝わる。しかし結果に繋がらないのが
現状だ。何が足りないか。ファンの声援
も十分に届いているはずだ。足りないの
は気持ちではない。気持ちは時に空回り
をする。込めても込めても伝わらない
想いもある。技術でも采配でもない。
ベイスターズは今、ここに沈む事が必要
だったのだ。大きなミスがありながらも
カード勝ち越しを重ね9勝6敗。リリーフ
陣の失敗がなければ12勝3敗。怪我人が
戻り、S.パットンの調子が戻れば、普通
にやれば勝てるのではないか。底力が
宿ってきた。その様な気持ちが無かった
だろうか。僕にはあった。5連敗してから
やっとに思い出したのが、勝てる試合を
落とせば、勝利の女神は逃げて行く。
そんな基本的な事を忘れてしまっていた。
勝ち試合を3つも落としたのにまだ貯金が
ある。コレは凄い事だ。といった気持ちが
慢心へと繋がるのだ。僕は反省している。
甘かった。だからソレを思い出す事が、
ベイスターズには必要だった。足りない
事は何か。沈んで勝ちに飢える事だ。
執念などという心ではなく、全身が欲す
渇き、飢え、底から湧き上がる本能だ。
コレを思い出した時、本来の能力が爆発
する。6連敗の反動、反発力に期待する。
今、勝ちに飢えた戦士達が、その喜びを
思い出した時、勝利の難しさを思い出し
た時、ベイスターズは必ずや再浮上する。
僕には見えた、勝ちに飢えた戦士達が。
ようやく今日、見えた。明日は必ず勝つ。