バナナジュース

EX THEATERの最前列でBLUE MANの
バナナジュース噴射を浴びて、六本木の
街に上がって来たのは18時少し前だった。
東克樹の登板日にバナナジュースを浴びる
とは縁起が良いと思いつつ、スマホの電源
を入れ、途中経過を確認する。溜息が漏れ、
服に付いたバナナジュースの悪臭を感じる。
用意されたブルーのポンチョを被っての
劇場は、僕には全く違和感のない光景。
そしてスマホのスコアも見慣れてきた。
「またか」「アズマもか」「バナナか」
やはりバナナは食べる物だと我に返る。
浴びてはしゃいだ自分がとても臭い。
スマホもなんだかベトベトする。バナナ。
何となくの嫌な予感は以前に書いた。
「東克樹の復帰登板を巨人戦に拘るのは
ギャンブルだ」と。神話は崩れ、攻略を
したジャイアンは過去を忘れる。通算は
まだ5勝1敗。しかしこの1敗が何勝分も
意味を持ってしまう。だから巨人戦は、
落ち着いてからで良いと思っていたのだ。
終わった事は仕方ない。肘は万全のはず。
しかし、2軍戦でも好不調の波が激しく、
得意の修正能力も発揮されていなかった。
コレは怪我の問題ではなく、実戦感覚の
問題だろうと思う。次は大丈夫だろう。
・・・という感覚は去年の同じ頃にも
あった。今永昇太に抱いた感覚だ。次は
そろそろ大丈夫だろう。しかしその不調
の原因は、怪我の影響でも、実戦感覚
でもなく、フォームを崩していたこと。
ソレに気付いていたのか否か、時間が
無くて出来なかったのか。しかし違和感
を感じながらも誤魔化して通そうとして
失敗したのは確かだろう。ハイテク機器
が、フォームの若干のヅレも見逃すはず
がない。東克樹も徹底的に分析されて
いるはずだ。問題がないなら構わないが、
そうでないのであれば、今永昇太の失敗
を繰り返してはならない。キャンプで
投げていないのだから、フォーム固めが
出来てない事に不思議はない。これから
1ヶ月間のキャンプを張る位が通常の過程
であるとも言える。監督もチームに都合
の良いポジティブ要素だけに目を向ける
のではなく、怪我明け投手にはネガ目線
が必要なのだから、同じ轍は踏まないで
欲しいと思う。とは言えそんな余裕もない。
驚異の修正能力が1週間後に発揮される
事を願いつつ、今日もまた懲りずに、
そんな試合の録画を観てしまうのであった。