洗脳

昼飯で相席になったベイスターズファン
らしき2人組の会話の中には「もうムリ」
「もうヤバイ」「もうツマらん」「弱い」
そんな言葉が溢れていた。筒香移籍に、
超悲観的な気持ちの表れの様なのだが、
飯がマズかった。僕は最近、相反する事
を考えていた。僕の娘は、ラミレス監督
のベイスターズしか知らない。CSは当然
のようにやってくるし、日本シリーズで
すら観戦済みだ。良い経験値では早くも
僕に近づいている。優勝経験だけが誇り。
彼女に唯一自慢出来る、98年ハマスタの
歓喜を、5年程度で、苦しみも知らずに、
味合わせてなるものか、という意地悪な
父の顔があったりもする。勿論に本音で
はないが、少し可哀想な気持ちは本音だ。
例えば来年に優勝するとしよう。すると、
僕の感慨と彼女の歓喜には、かなりの差
が生じると思うのだ。待つ時間が長い程
に、苦しみが大きい程に喜びは大きい。
世間はコレを負け惜しみと呼ぶ。しかし
僕がもっと危惧するのは、彼女にはアノ
暗黒時代に耐え得る体力があるかどうか。
いわゆる平和ボケしていないかどうかだ。
人は、ゆとりのある生活が長いと、少し
の困難でも前向きに進む事が出来ない。
そして辛さを忘れてしまうと、あるいは
知らないと、人は欲深くなってしまう。
よって、希望の光を見逃して愚痴になる。
僕はいつでもどんな時でも美味しいご飯を
頂きたい。娘にはそんな洗脳を施そう。