秘密

函館の夜

俺は、おじさんの事を想ってた。

育った田舎町から
車で一時間半って感じだけど
子供の頃良く訪れた。

"まさる!!
遊びに行くぞｰ♪"

叔父さんに連れ出された。
甥っ子を遊びに連れていく

……という名目。
名目なのよ(笑)
それは…小学生の俺でもわかってた。

"デパートに行ったと…言えよ(笑)"

本当の行き場所は……競馬。

函館でばん馬が走っていた時代。

ばん馬の大きさと迫力
ちょっと怖いぐらいだった。

俺にとっての馬は…ばん馬だったから、サラブレッドの小ささに驚いたよね。


蹄の音
大人たちの怒声

その音が
今も耳に残ってる。

酒、ギャンブル、女
絵に書いたような、あれな人だったけど…
あちこち連れて行ってもらったな。

森にクワガタ獲り、川釣り
鮭を釣ってたな…今思うと(~_~;)

"ああいう、人間になったら駄目だよ"
そんな言われ方をしてたけど…。

本当の父親は、傍にはいなかったから…
叔父さんは、父親代わりのつもりでいたのかも知れない。

この叔父さんを反面教師に育って…

一時期は、麻雀プロになろうとしてたり…
今は、競馬をやっている(笑)

人間にそんなもんだ。

函館ばん馬で、叔父さんが勝ってたのか？負けてたのか？

それは知らない。


良くカレーを食べた
たまには、カツカレーだった。

カツが付く日は、勝った日だったのかな？(笑)


麻雀と競馬で
身を滅ぼした、叔父さん…。

麻雀の負けを競馬で返そうとしてたみたい。

函館も賑わっていた古き良き時代


あの日食べた
カツカレーの味は

二人だけの秘密。