〜兵どもが夢の跡〜

前記の日記にあるマンションの話。

元々、帰国後の母が住んでいたが、父の実家に移るまで家族で住んでいた。

マンション名からわかる通り(エンバシー=大使館)、この建物は米国大使館邸の横にあり、裏はホテルオークラと霊南坂教会、といったロケーションだ。

場所柄、表通りから入口まで数人の門番がおり、フロントも日本語は通じないがコンシェルジュが配備されているので安全便利。

その為、外国企業の要人や政府、大使館関係の人間等が住まいを構えていた。

特に石油エネルギー企業世界大手のconocoの支社長やデュポン社(ライターじゃなくてアメリカ3大財閥の方)の副社長兼日本支社長とは度々ホームパーティに招かれたり買い物に出掛ける等、とても懇意にさせて頂いていた。

このマンション、日本語はほぼ通じないので日本人はほぼいないのだが、私達の他にもう一部屋日本人家族が、、、

昭和財界の怪物、エンパイアステートビルの所有やあの悲劇で有名な、ホテルニュージャパンオーナー横井英樹の次男である横井裕彦氏だ。

父親の英樹氏とは正反対の長身で物腰の柔らかい、今でいうイケメンだったという事だが父親の襲撃事件があった為か、常に3人程の運転手という名のボディーガードを従えていた。学生結婚をした奥方も清潔感のある美人だ。

その奥方とも指輪を交換する程意気投合し、交流を深めていたのだが、二人の話の内容にとても記憶に残る事実が、、

「お義父さん、犬が苦手だからここに来た事がないのよ」

パピヨン。とても小さな犬である。

財界の暴れん坊将軍、バブル王にも怖いものがあった。なんとも可愛らしく思ってしまった。

程なくして私達が実家に移り、少しづつ疎遠になり、、そしてあの火災。

母は今でも口にする。

「今どうしているかしら」

そして指輪を眺めながら

「この子は家に来て幸せだったのかしら、、」

今は取り壊されてサイオン桜坂というマンションに様変わりしているが、母はとても懐かしそうに昔の様子を語っている。


母さん、長生きしてくれよな、、、

※画像は

1枚目
右から時計回りに

・エンバシーハイツの部屋
・ホームパーティ(真ん中も)
・conocoのタンカー進水式かな？に招待された時
・デュポン日本支社長のカーメル氏夫妻と母

2枚目

アメリカンクラブにて

奥中央が母、奥両脇がタトル出版のチャールズ・E・タトル氏夫妻

だと思う、、ググッたら顔出てるだろうから個々で確認してくれｗ