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2018/08/31 15:21
プロフェッショナル【武豊】
【第三章 世界トップクラスのステッキワーク】
最後の直線で鞭(ステッキ)を多様している騎手は「追っている」あるいは「追い方が上手い」と、言われがちだが、武豊騎手には当てはまらない。馬は臆病で神経質な生き物。馬の本能は鞭で叩かれるどころか、馬体に触れられることも嫌がりる。それを人間の手によって調教という人工的に施されたのが競走馬である。
鞭を使用する役割は、最後の走りの合図(ゴーサイン)・更に加速を促す・方向を変える・手前を変える等。そして使用方法は、一般的な臀部を叩くことと肩鞭・見せ鞭(画像)が有る。多くの騎手はフォアハンドで臀部を叩くが、武豊騎手の場合は個々の馬によってフォアハンドとバックハンドを使い分ける。特にバックハンドで臀部を叩いていると突然クルリと鞭を回す光景が見られるが、これはフォアハンドに持ち変えて鞭を使用する為。失敗して鞭を落としてしまったこともあったが...。勿論、そのまま臀部を叩くことも有るが、多くはフォアハンドでしか使えない肩鞭や見せ鞭を使用する為である。この見せ鞭は福永騎手や秋山騎手、そしてルメール騎手も使用している。鞭で叩かれることを嫌がる馬には非常に効果的な方法である。そして肩鞭は、バックハンドで軽く使用し行き足を促す時と、最後の直線の時に外や内にヨレてしまう馬にフォアハンドでよく使用している。但しこの肩鞭は、一般的な臀部を叩く回数を1回とすると、1.5回から2回と見なされてしまう為に非常に注意しなければならない。事実、今年も肩鞭の使用で制裁を課せられている。見た目にはそれほど多様している様には見えないが、肩鞭を3・4回程使用していたのは事実。
以前は岡部騎手(現役当時)も同様の使い分けをしていたが、こうした鞭の使い分けを実践しているのは現在では武豊騎手一人だけのようだ。