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2018/09/01 18:18
プロフェッショナル【武豊】
【第六章 御す】
武豊騎手が競馬関係者やファンの間で「御せなくなった」と言われ始めたのは、2010年の落馬による大怪我から復帰した秋に、今や日本競馬界を牛耳るある一人の個人馬主が発した「武は御せなくなった」の言葉が発端である。それはあくまでその馬主の『大義名分』に過ぎないが、この件についてここでは割愛させていただく。
一般的に掛かってしまった馬を手綱で抑えたり馬群の中に位置取ることを『御す』と言われているが、それは一つの御し方であって全てではない。どうすれば馬が落ち着くかは個々の馬によって異なる。ハナを切ると落ち着く馬、馬群に入れると落ち着く馬、外目に出すと落ち着く馬、後方に位置させると落ち着く等々、様々である。
武豊騎手が騎乗し勝ってきた、特にG1を勝ってきた多くの馬はクセ馬ばかり。テンションが高くなる『シャダイカグラ』、馬群の中でも掛かる『イナリワン』、つかみどころがなく手前を変えない嫌いだった『オグリキャップ』、掛かり癖のある『スペシャルウィーク』と『キズナ』、馬場入りから抑えの利かない『サイレンススズカ』、スイッチが入ると一気に燃え上がる『ディープインパクト』、出遅れ癖のある『リスグラシュー』等々、数え出したら切りがない。但し、そうした数々の勝ち馬の中でも武豊騎手に「雲の上を滑るのってこんな感じかな」と言わせた馬が『スーパークリーク』である。一頭一頭のことを記載するとそれこそ切りがない為、ここでは幾つかのクセ馬の御し方を紹介してみたい。