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2018/09/03 17:53

プロフェッショナル【武豊】

【第六章 御す】
《第一項 スペシャルウィーク
スペシャルウィークサンデーサイレンスの良い部分も悪い部分も色濃く受け継いだ一頭である。先頭に立つと耳を立ててキョロキョロしたり、直線で歓声に驚き内に切れ込むこともあった馬。それでも武豊騎手は、逆に癖のある馬は高い能力を持っているとことが多い、と全てを受け入れていたようだ。ご存知のようにサンデーサイレンス産駒のクセ馬の最後の直線は、爆発的な脚や鋭い切れ脚を使う。スペシャルウィークも又、その中の一頭だった。その脚を引き出そうとレース毎に馬群の中で脚を溜めることを覚えさせてダービーに臨んだのだが...やはりサンデーサイレンスの血が出てしまい前半は掛かり気味の走り。但し、それでも引っ張られる手応えはかえって歓迎するように無理に手綱を引いて抑えずに、第四章で記述した『他の騎手を利用』した騎乗を実践している。それは絶対に変な動きをしない岡部幸雄騎手(現役当時)の後ろに位置させることだった。するとスペシャルウィークはすぐに折り合いその後は第四章でコメントしたように、3コーナーを過ぎた辺りで手応えの良い馬の後ろを追走しながら手応えの悪い馬を探し、手応えが悪い馬が下がってきたところの空いたスペースにスペシャルウィークを導き、そして追い出すという正に『御す』のお手本通りにゴールを突き抜けた。
期待された菊花賞は、上がり最速の脚を使いながら皐月賞で負けたセイウンスカイに再び届かず2着に負けた。あれはこれ以上ないと言われた絶妙なペースで逃げた横山(典)騎手の好騎乗と絶賛されたが、一方の武豊騎手は「下げ過ぎた自分のミス」と、反省しきりだった。そして次は初めて古馬と対戦するジャパンカップに臨むところだったが、騎乗停止によって岡部騎手に乗り替わりとなってしまった。
スペシャルウィークはスタート直後から掛かってしまい、馬群の中でなんとかなだめようとしている岡部騎手だったが、外へ出しても修まらず5番手ぐらいで向こう正面を進んで行った。若干修まったように見えた3コーナーから再び掛かってしまい、馬上で岡部騎手の上体が上下したまま4コーナーから直線を向き追い出した時には余力がなく、よれながら内へ内へと切れ込んでしまい、結局エアグルーヴにも先着されて3着。三冠全てを戦い、秋3戦目で3歳馬にとっては多少の疲れはてあったにせよ、ファンからは内容には不満が残るレースと評された。
このレース映像を観ながら振り返るあるTV番組で解説をしていた武豊騎手は、3コーナー過ぎだったと思うが、その辺りを通過するスペシャルウィークを見て「あそこで行ききってしまえばいいのに」と、言っていたのを覚えている。それは何を意味するのか...前述したように武豊騎手は掛かる馬を無理に抑えようとはせず、微妙なコントロールで馬を走らせる。要するに馬と『喧嘩をしない』方法を優先させる。掛かれば掛かるほど馬の体力は消耗し、最後の直線ではスペシャルウィークのような剛脚や切れる脚は使えなくなってしまうからだ。このレースに関しては名手と言われた岡部騎手でさえも、スペシャルウィークを御すことはできなかった一例である。

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