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81件のひとこと日記があります。

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2018/10/08 10:38

《夢》から《大目標》へ...凱旋門賞制覇!!

今回の凱旋門賞は、クリンチャー武豊騎手もベストを尽くした結果だろう。掛かる可能性があり切れ脚を持たないクリンチャーを絶妙なタッチでコントロールし、3番手に位置させる。これ以上ない位地取りだ。そして重馬場に対応出来る掻き込むような前肢で進み、いつものクリンチャーの走りを見せた。しかし、最後の直線で追い出した時には手応えが鈍く、前へ出られない。クリンチャー武豊騎手の凱旋門賞は、2000m付近で結果が見えてしまった。ゴールまでのクリンチャーの四肢を見るとバランスを崩している。それを瞬時に感じ取った鞍上は無理に追うことを避けて、馬を無事にゴールまで運んだ騎乗は、馬の今後を見据えた武豊騎手の好判断(いつものことだが)だった。但し、四肢がバランスを崩したことは決して異常や故障ではなく、消耗しきった馬にはよく見られる状態である。勝負というよりロンシャンのコースと斤量に負けたといったレースだったと強く感じる。
国内では長距離巧者でもロンシャンのコースと馬場は日本の比ではない。日本の競馬場は全てが人工的に作られ、誰が見ても施設やコースは非常に整備され綺麗である。しかしロンシャン競馬場は、2年の改修工事を経ても自然の土地形態を利用したコース形態に変わりはない。更に改修工事中であってもコース内の芝は手を入れておらず、改修工事前と殆ど変わらない。
既にご存じのようにロンシャン競馬場は自然の土地形態を利用している為、起伏に富んでいる。しかも平坦なコースでも細かな起伏があり、日本馬にとっては非常に走りずらい。加えて洋芝の状態は、野芝と洋芝を併用している国内の競馬場の状態とは全く異なる。洋芝は深いと考えられているが、日本で使用している野芝よりも短いのが現状だ。洋芝の特徴は芝茎にある。それは茎の部分が地中に埋まっている野芝に比べて洋芝は茎の部分が地面に張り巡らされており、まるでネットを張っているような状態だ。馬はネット上を走っているようなものである。この芝茎が絡み付き脚抜けが悪いことから『芝が重い』とされている。又、10mの高低差は日本の競馬場では皆無である。この坂は、ダラダラした上りでも最高点に達した時には馬の脚に乳酸が溜まる。そこから下っていくと今度は膝と腰に相当な負担が強いられる。
こうしたことから凱旋門を勝つためには、多種多様の対応が不可欠である。
まず馬のパワーアップと持久力アップを図らなくてはならない。ヨーロッパの馬達は広大な自然の中で調教されている。その一つとして日本の人工的な坂路ではなく、自然の坂を利用した非常に長くそして急坂で調教されている。これは日本の坂路を数本こなすより非常に効果的である。これだけでもトモや前肢と胸筋が鍛えられパワーアップに繋がり、加えてスタミナと心肺機能も同時に鍛えられる非常に効率的な調教方法である。これは陸上競技選手だった頃に私が実際に練習として取り入れていた(実際は監督の指示)クロスカントリーというのがある。自然の山中や起伏に富んだ土地を利用した練習であるが、中距離や長距離選手には一度に多くの部分が鍛えられる為に、非常に効果的だった。馬もその効果に変わりはない。
もう一つは、馬の爪がロンシャンの洋芝に適合しているか否である。勿論、裸状態の爪で走るわけではないが、爪の形状と芝状態に合わせた蹄鉄の装着が必要不可欠であることは言うまでもない。競走馬の爪は野馬と比較して非常に弱く減りやすい。これは生まれた時から人間の手で人工的に飼育され餌も異なる。栄養もまた偏りがちで、競走馬に必要な栄養分を含んだ配合飼料が与えられている。それに対し野馬は、本能的に自身に必要な栄養分を含んだ自然の草を選択し摂取している。そのお陰で必要不可欠な栄養分を補い爪もまた強くなり減りにくくなる。従って科学的な手法のみならず、馬の本質を生かせるアナログ的な方法も取り入れていかなければならないところにきているのかもしれない。
そして最後は環境を変えることだ。国内である程度良績が得られたら渡仏し、長期滞在を敢行することである。そこで数戦実戦を踏んで凱旋門賞に向かう。宮本調教師が「10回の調教より1回のレース」とコメントしたように、実戦は調教に勝る一番有効な調教方法である。但し、長期滞在には多額の費用を要することも事実である。これが一番の難題かもしれない。『凱旋門賞候補馬・一口基金』といったような募集でもしなければ不可能だろう。これもまた現実的には困難なことである。しかしながら、今までとは異なる何かをしなければ不可能だろう。
武豊騎手がレース後のインタビューで「凱旋門賞制覇は大目標」とコメントしていたように、以前は『夢』だったものから『大目標』に変わっている。ということは、今回のフランス遠征において、勝てる何かを感じ取ったのではないだろうか?

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  • ヒマさんとツブシくんさん

    まつりさん!いつもご覧にんなっていただきありがとうございます。
    基金については競馬法の変更と追記をしなければ不可能でしょうね。
    武豊騎手にとってヨーロッパのチーム戦に関して不安はないはずです。過去に、自身がラビット役の馬に騎乗し何度も勝たせてきていますから、チームの展開や手法は分析済みのはずです。
    但し、日本の陣営がチームで戦う時の方が非常に不安です。日本の騎手達はチーム戦に慣れていません。慣れているのはC.ルメール騎手(但し、主役の馬に騎乗する場合のみですが...)と、ほんのひとつまみ程度の騎手だけです。
    このひとつまみ程度の騎手に関しては、後の『プロフェッショナル武豊』にてコメントさせていただきます。

    2018/10/09 12:35 ブロック

  • まつりさん

    とても深く考えさせられる内容でした。
    ありがとうございます。

    基金…あってもいいかも。
    留学生に奨学金を出すように、一定のレベルを満たす馬に、厩舎・オーナーの枠を超えて、日本代表として資金援助をして遠征教育をする。

    あの2歳馬に5%上積みの費用を充てるとか…

    国を挙げて動かないと、とても太刀打ち出来ませんよね。

    ヨーロッパはチーム戦だし。

    2018/10/08 19:03 ブロック

  • まつりさんがいいね!と言っています。

    2018/10/08 18:58 ブロック