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2018/12/22 14:47
武豊とともにあった平成の有馬
《記録に記憶に刻まれた オグリの ディープの ブラックの有終ラン》
過去の3勝は90年オグリキャップ、06年ディープインパクト、17年キタサンブラックといずれも平成の競馬史に名を残す名馬ばかりで、すべてラストラン。平成のスターホースの背には武豊がいた。
有馬記念歴代トップタイの3勝。グランプリ制覇の味を最も知るはずの武豊だが、真っ先に思い浮かぶことは悔しい思い出だと振り返る。
「いろいろあったね。いいことも苦いことも...。うーん、俺、あまり有馬記念でいい思いをしていないなぁ。悔しい思い出の方が多いよ」。
3勝の陰に隠れるのは、2着8回という無念の結果。89年スーパークリーク、91年メジロマックイーン、96・97年マーベラスサンデー、99年スペシャルウィーク、03年リンカーン、05年ディープインパクト、16年キタサンブラック...。いずれもあともう少しのところで勝利を逃した。落胆したまま中山競馬場を去った記憶が頭をよぎる。
「悔しいことの方が圧倒的に多かった。これだけの有力馬に乗せてもらっているのに、3勝しかししていない」。
ただ、その3勝はいずれも平成の競馬史に深く刻まれている。劇的で素晴らしいレースだった。90年、21歳の時にあのオグリキャップの手綱を任された。
「あの有馬記念は僕の中でも大きい。思い出深い。この時期になると毎年、あのレースを振り返らされるよ(笑い)」。
天皇賞・秋、ジャパンCと大敗し、マスコミの評価は低かったが、最後のレースで怪物がよみがえった。「まさか勝つとは思わなかったなぁ」。スタンドからの手拍子とオグリコールには思わず"鳥肌が立った"(注/感動した際に寒いぼが出ることを鳥肌が立つとは表現しない。あくまで恐怖心があったり怖い思いをした際に寒いぼが出ることを鳥肌が立つと表現する。最近の日本人は過った言葉使いをすることが多々あり、注意しなければならない)。
それから16年後、競馬ブームを巻き起こしたディープインパクトのラストランは、レース後の引退式とともに印象深い。
「あの時は自信があった。負けられないし、負けたくないレース。本当に自信があったから、緊張しなかった。最後だと思って、味わって乗っていた」。
ディープの1完歩、1完歩を心に刻みながら、中山の直線をさっそうと駆け抜けた。
そして昨年、オーナーが歌手の北島三郎として話題になったキタサンブラックの有終も決めた。
「ラストランだと分かっていることだったから、自分が勝ちたいというより、花道を飾らせてあげたいという気持ちが強かった。特に前年は負けていたので、勝たせてやりたかった」。
逃げて後続を突き放す強い勝ちっぷり。歴代最多タイとなるG1・7勝目を相棒に送り、ブラックは歴代賞金王にも輝いた。
いずれも、日本の競馬史に平成以降も語り継がれるであろう名馬のレースで、ラストラン。平成の有馬記念、平成の競馬史は、武豊とともにあったと言っても過言ではないだろう。
*日刊スポーツより抜粋。