競輪
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2019/02/18 17:25
2019 フェブラリーステークスＧ１(２)
【坂口正大元調教師のＧ１解説 トップ眼】
コパノキッキングでＧ１初騎乗を果たした藤田菜七子騎手は、最後方から大外を回って５着でした。一見すると、レースを投げているように映るかもしれませんが、そんなことはありません。私が調教師でも同じ作戦をとったと思います。
まずひとつは、初めてＧ１騎乗で藤田騎手が自信をなくすことだけは避けるべきです。これだけのジョッキーの中で、例えば馬群で進路を妨害したりということがあると、最初に頭を打ってしまいます。そしてもうひとつ、キッキングのマイルでの違う面を見たい意味もあります。実際、後ろの馬が届かない展開になった中で、５着まで来たことで馬のマイルへの対応力は見えました。指示だったのか、本人の判断かは分かりませんが、馬の力は存分に引き出したと思います。
騎乗フォームは騎手らしい形に固まり、手綱を詰めて追っている姿などは本物になってきています。技術は今日乗って明日上達することはありませんが、今回のＧ１初騎乗で度胸は相当についたでしょう。今後の藤田騎手が楽しみです。
対照的に、インティの武豊騎手は熟練の技が光りました。スタートは外のサンライズソアの方が良かったですが、横を見てソアが行かないとみるや、スッとハナに立ちました。あのレース勘、一瞬の判断力はさすがです。そこからは前後半８００�辰�４８秒０ー４７秒６というイーブンペースを作り出し、直線に向くといったん後続を突き放して、後ろの馬が来られない展開を仕上げました。逃げ切りが簡単な舞台ではありませんし、もちろん馬の能力も相当ですが、藤田騎手が注目された一戦で、第一人者がさすがの騎手を見せたというところでしょう。
ゴールドドリームは馬体が回復し、かなりいい状態に映りました。持てる力を出し切った２着ですから、豊インティにしてやれたというしかありません。
注/以上は日刊スポーツ紙からの抜粋。
他には各騎手のコメントも掲載されているが、インターネットでも配信されている為、割愛させていただく。
しかしながら｢レースが流れなかった｣｢流れが遅かった｣｢もう少し流れてくれたら｣｢早めに前へ行きたかったが行けなかった｣等々、敗因を上げる騎手もいるが、それは全ての騎手にも当てはまる。事実、直近３走で前半３ﾊﾛﾝがインティより速い馬が８頭いた。インティは出走馬中９番目でそれほどテンが速い馬ではなく、これまでも展開を見て武豊騎手が先手を取ったと言える。
今回も又、想定した番手ではなく行く馬がいない為に自ら先手を奪い、そして馬自身のペースで進めた結果の勝利である。
想定外の事態になっても一瞬の判断で対応が出来る頭脳だけではなく、数々の経験が体全体に染み込んでいるからこそ可能にしている対応能力に他ならない。これは４千を超える勝利数もさることながら、２万を優に超える負けから学び培った心技一体の心身を自ら作ってきたからである。
騎乗技術が上手い騎手は他にも多く見受けられるが、こうした対応力や相馬眼はまだまだ欠けている部分であり、武豊騎手の後継者がなかなか現れない要因ともなっている。騎乗技術を磨くだけではトップジョッキーにはなれない。
坂口正大元調教師が武豊騎手の騎乗を詳細に解説することは殆どなく、『さすがの騎乗』で済ませている。それは、『武豊騎手を見て学んで欲しい』の裏返しでもある。以前にも記載しているが、坂口元調教師が｢若手は武豊騎手と同じレースに騎乗出来る意義をもっと考えて欲しい｣と述べているように、若手のみならずもっと多くの中堅層も感じて欲しいところだ。
他の騎手達も武豊騎手の競馬に対する姿勢や、個々の馬とレース毎の対処法を是非見習って欲しいと切望する。
- コパノキッキング
- インティ
- サンライズソア
- ゴールドドリーム
