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2019/06/16 13:53
真の『杜の都』へ
仙台市は今年の4月で政令指定都市に指定されてから30年を迎えた。そして光のページェントは今年で33年目を迎える。
この間に仙台市は『杜の都』から『箱物の都』へと様相を呈してきた。地下鉄や道路の拡張・整備の為に、市中心部の象徴でもある槻並木の伐採が行われ、どんどん緑が失われてきた。伐採に市民が猛反発しようが行政側は決定事項を遂行するのみ。そして緑が減少する反面、増加してきたモノが近代的な建造物と冷たい舗装路だ。特に仙台駅の東部周辺は、歴史のある建物からヒンヤリしたビルや現代風の商店が建ち並ぶ。道路も碁盤の目のように規則正しく整備され、増加した交差点に設置された信号機が車社会を露呈している。
こうした県政や市政の中、源氏蛍の保護活動を続けている市民グループが存在する。源氏蛍の生息が確認されたのは2013年のことで、それ以来市内で料亭を営む73歳のYさん(女性)らが『青葉山ホタルの会』を立ち上げ、これまで保護や繁殖に取り組んできている。
源氏蛍は大型のホタルの一種で、体長は約15ミリ。成虫のみならずサナギや幼虫も、そして卵まで光を発し幼虫は清流にしか住み着かない(画像は最近、源氏蛍の光跡を定点カメラで撮影した写真)。
こうした生息域が限定される源氏蛍は、市中心部近くを流れる広瀬川(さとう宗幸さんの『青葉城恋歌』の中の歌詞)の支流の沢で今年も光の線を引き始めた。この沢は、仙台市街が一望出来るこれぞ杜の都といった緑に囲まれた青葉山公園内にある。
県も市も震災後の復興を掲げてはいるが、本来の復興を忘れてはいないだろうか。
『杜の都』から『光の都』へという趣旨の下で震災以前から開催されている『光のページェント』は、募金額が年々減少し規模も縮小されてきている。玉切れで交換を要し電気料金が高騰してしまう白熱球から、玉切れがなく電気料金が節約出来るLEDに交換されたが、もっと自然の光にも傾注することも重要ではないだろうか。
人工的な『光のページェント』から自然の『ホタルのページェント』へと変えていく一歩が必要ではないかと考える。
それこそ真の『杜の都』を取り戻すひとつの手段でもある。
そして青葉山ホタルの会のYさんは「多くの人に親しんでもらいながら、100万都市の中心部に近い生息場所を守りたい」と話している。そのひとつとしてホタルの会は、この15・16日の二日間に観察会を開催している。
私は土日も営業している為に参加は不可能であるが、今後は微力ながら何らかの形で支援をしていきたいと考える。