184件のひとこと日記があります。
2019/06/11 16:08
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ちなみに、まだスーパーの近くである。変にデザイン性だけはある建物で、玄関神殿のエンタブラチュアの前でうろうろしていたところだ。
ついでいうとその奥は、期待を裏切る味気ない自動ドアと、カートがあるコーナーである。
すぐ外に曲がれば、自販機があった。
中にもジュースあるだろ、とこの国でつっこんでもさほど意味はない。
彼は時計を確認する。案外に近道だったようで予定よりも早くついたらしい。
あと15分ほどの余裕があった。
「とはいえ5分前には行く予定だから暇は5分程度かな」
なんていう彼が、店内入り口近くにあるキカイを指差した。
『うさぎさんとかめさん、よーいドン!』
と書いてあり、コインを入れる場所がある、アレである。
「賭けをしよう」
「……今? 奢れないんだけど」
彼は特に答えず、財布を取り出す。150円ぼくに渡してから、200円を、よーいドン!につぎ込んだ。
にぎやかな音楽で画面が切り替わる。次に、まず、うさぎさんとかめさん、どっちを応援するかをボタンで選ぶ。
「どうする?」
「じゃ、うさぎさん」
彼が、うさぎさんを選ぶ。
コースに、実際うさぎさんとかめさんのフィギュア?
がならんでおり、連動して前進する。前方にはゴールがある。やがて、画面が変わり、二匹(一羽と一匹?)が、ぴこぴこと動き出した。
途中の石や、仲間の妨害、様々な苦難を乗り越え――
なんだかんだで選ばれたのは、うさぎさんだった。
ちなみに、かめさんも勝つときもあるためこれに動物としての性能は関係ない。
「ラッキーだな」
ぼくが呟いていると、店員を呼んでください、と書いてあったのを見たらしい彼が何かもらいにいった。その間にぼくはお茶を買い、少し飲んだ。
「ただいま」
「なんだった?」
「大理石のフィリップス・アラブスみたいなおばちゃんが、こんにゃくゼリーと、チョコレートくれた」
「誰だ?」
「昔の人」