ウオッカ

まだ気持ちが整理できない。
何を思い出して、何を語ればいいのかわからない。

「ありがとう」とか、「どうか安らかに」という言葉さえ、彼女の死を認めてしまうようで、言えない。

メジロラモーヌが好きだった。
エアグルーヴが好きだった。
そして、ウオッカが好きだった。
多分、恋だったと思う。

2008年秋、天皇賞を観戦に行ったとき、間違いなくウオッカが勝つと信じていた。
だから、写真判定の15分間が、30分にも、1時間にも思えた。
掲示板の一番上に「14」が点ったとき、「想いが通じた」と思った。

どちらかと言えば脇役的な馬が好きな私にとって、これほど主役級の馬を好きになってしまったのは久しぶりだったと思う。
「強いのは府中限定」
「最強馬とは言えない」
そんな声を耳にしても、どうでもよかった。

まだまだ事実を受け入れるのには時間がいるのだと思う。
嘘であってほしいと、いまだに思う。
蹄葉炎なんて、どれだけ辛かったのかと思うと、涙が出そうになる。