『神の左』の後継者…その名は中谷潤人

きのうまで、その名前さえ知らなかったが凄い選手がいたもんだWBO世界フライ級王座決定戦、相手はランキング1位のマグラモ、25戦で1敗しかしていない20KOとハードパンチャーの強者。対する中谷も、20戦全勝15KOとは驚いた22歳の若さで20試合のキャリアがまず凄いが全勝でKO率75%とは恐れ入った。フライ級でこのKO率は驚異的である。第一ラウンドのゴングが鳴って、その冷静な戦いぶりにまた驚いた。世界初挑戦の気負いを感じさせずクールに的確にパンチを当てていく。サウスポーのボクサータイプだということだがインファイトでもマグラモを圧倒して、そのパンチはカミソリのようにキレがある。あの高いKO率の秘密はこれかと納得する。初回から強烈な左ストレートが炸裂していたが、その後も全く手を緩めず打ち続ける。ボディー、顔面と打ち分けて追い詰めていく様は、あたかも将棋の対局で計算され尽くした一手で相手を追い詰める棋士のようでありクレバーさが際立っている。そして迎えた第8ラウンド、それまで隠していた左のロングアッパーで王手をかけ鮮やかなフィニッシュに結びつけた。タイトルを奪った11月6日は初代「神の左」の山中慎介が同じく世界バンタム級決定戦でタイトルを奪った日と同じらしいあの名チャンピオンのように防衛回数を重ねるのか、複数階級制覇を成し遂げるのか夢は膨らんでいくのである