ライバル物語(その３)　〜　アーモンドアイと戦友・ニシノウララ

新馬戦では、血統や関係者のコメントなど判断基準となる事柄が多いため、
馬券検討やPOGなどにおいて、私たちも惑わされることが多いものだが、
その割には各馬がレース未出走ゆえに、お互いを比較するデーターが少ない
ため、思いもかけない馬が勝ったり、敗けたりして予想し難いことが多々ある。

今からちょうど８年前の2017年8月、新潟４R・芝1400mの2歳新馬戦。
このレースには、後の3冠牝馬となるアーモンドアイ（ロードカナロア産駒）
を含めて17頭が出走していた。
アーモンドアイは、単勝オッズ1.3倍という圧倒的な１番人気に支持されての
出走でもあった。
アーモンドアイの父・ロードカナロアは、G1レースを6勝した「短距離王」で
2017年度は、初年度産駒が次々とデビュー戦を迎えていた。
母・フサイチパンドラは、G1優勝１回、同２着２回などの実績を持つ名牝。
加えて鞍上は、2015年のJRA移籍後に２年連続100勝以上を積み重ねて
3年目を迎えたC.ルメール騎手、これで人気が出ない方がおかしかった。

さて、ファン注目の新馬戦であったが、スタート良く飛び出したニシノウララ
（牝・リーチザクラウン産駒）が、無理せず２番手に付けて走り、
アーモンドアイは、後方集団に控えていた。
最後の直線に入り、先頭を走るカタナ（牡・ロードカナロア産駒）を
ニシノウララが捉え、そのまま後続勢を寄せ付けずに新馬戦のゴールを駆け抜けた。
期待のアーモンドアイは、メンバー最速の末脚で上がって来たものの、力及ばず
２馬身もの差をつけられ2着となり、今振り返ってみるとほろ苦いデビュー戦でも
あった。
同年10月、アーモンドアイは、２歳未勝利戦を難なく勝ち上がり、その後の
快進撃は周知の通りであるが、3冠牝馬の栄冠を皮切りにG1レース9勝（海外含む）
を上げ、父・ロードカナロアのＧ１勝利数を超える大快挙を成し遂げた。

新馬戦だけ見ると、どちらが後のＧ１馬なのかわからないような内容のレースでは
あったが、新馬戦で勝った馬がその後も勝ち続けて活躍するといった保証はなく、
敗けた馬がダメだと言うこともないのである。
また、あのアーモンドアイに新馬戦で勝った「ニシノウララ」がいたことを、
一人でも多く競馬ファンの記憶にとどめていただきたい。