賭け

賭け

　或る富豪がギャンブル依存症の男に、賭けをしないかと言いました。その賭けは、
５億円もの大金がかかっていました。
依存症の男は、私には、５億円もの賭けるお金はありません、
と言いました。
富豪の男は、なにを今更、お金など問題ない。
死ぬまで、使い切れないお金があるのだから。
私は、ギャンブルの興奮が欲しいのじゃよ。
別に１０億円でも構わないのだが、あまり多いと信用されないのでね。

　ギャンブル依存症の男は、では何に賭けるんですか？
と聞きました。

　大富豪は、いや何、あなたがこの先１０年間、ギャンブルをしなかったら、
５億円をあげましょうと、言いました。
１０年経たない内に、私が死んだら約束のお金は支払われないから、私の遺言書、
及び念書にして弁護士に預けようと言いました。

　ギャンブル依存症の男は、しめた、１０年、ギャンブルやめるだけで、５億円もの大金が入るなら、受けようじゃあないかと、大富豪と契約（賭け）をしました。

　ギャンブル依存症の男は、１週間もしない内に
ギャンブルがしたくて、手や身体が震えていましたが、
なんとか持ちこたえました。しかし、それから１か月後
ギャンブル依存症の男は、賭けに負けるのが嫌で
自殺をしてしまいました。

　５億円はどうなったか？ですか？
大富豪は、５億円ぽっちのお金で、約束を破る男ではなかったので、
依存症の男の残された家族に、約束通りお金を
渡しました。