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2021/10/16 23:16
競走馬ゴールドシップ号のこと
最近になってゴールドシップの存在を知り、現役時代のレース動画を視聴し、ネットの記事を漁り、諸々の情報を探っている日々である。
G1を6勝もしている彼は非常に優れた実力を備えた名馬である。
しかし巷でよく聞くのは「舐めプしていた」「鈍足馬」
名馬を称す言葉とは似つかわしくない文言ばかりが目につく。
その鈍足馬は数多くの勝利を挙げている、それなら彼に敗れたことがある馬は全て鈍足馬になるのだがそれは一体…。
確かに、誰しもが名馬という文字へ抱く『理想的なお利口さん』の道から外れた破天荒で気分屋な馬だったとは思う。
人が願う『名馬』は、人にとって『都合の良い存在』であることが条件だろう。
人に逆らわない、指示に素直に従う、常に好成績、全力で走る、にも関わらず故障せず病気せず…。
(んな無茶苦茶な)
彼は嫌いとみなした人には逆らうし、納得しないと指示に従わないし、成績の上下は割と激しいし、ヘトヘトになる限界まで走っている姿なんて見ただろうか…??
彼が走る気を出したレースはどれも人を魅了する、ゴールドシップ劇場と化す。
天皇賞制覇を目指した、今は亡きメジロ牧場の結晶の血と、近代競馬を開闢した下総御料牧場の基礎輸入牝馬の星旗、その娘クレオパトラトマスの血を継いでいる彼が、常識破りの強い競馬で制覇した天皇賞・春は際立って伝説的なレースに思える。
彼はスタートしたらゴール板までちゃんと走っている。
例の天皇賞春や宝塚記念の大出遅れ事件、ラフプレーでやる気を無くしたのが丸わかりな凱旋門賞の時さえ。
レース嫌いが顕著になっても自ら走るのを止めたり、コース外へ飛び出したりするようなことは一度も無かった。
天皇賞の大出遅れ事件でゲート難が悪化してしまい、果てにはラストラン出走すらも心配されるようになってしまったのに、それでもしっかりと最後まで走り抜けた。多くの歓声を集めながら。
人の願う『理想的なお利口さん』に彼は基本的に従わなかった。
それが気に食わない層が居るのはやはり仕方のないこと。
だからこそ、悪評とも思える文言が前面に出てしまうのだろう。
競走馬ゴールドシップは、約5年にも渡る過酷な現役生活を無事に生き抜き、今も健やかに種牡馬生活を営んでいる。
歴史に埋もれ消えかかっていた、星旗の血を継ぐ産駒達を世に送り出し、産駒達もその素晴らしい才能を輝かせ始め、人々の注目を集めている。
彼はやはり強く賢く、どこまでも人を魅了する名馬だ。