161件のひとこと日記があります。
2025/03/08 18:40
競馬小説『銀色のステイヤー』
競走馬シルバーファーンが生まれてから引退するまでの物語。シルバーファーンの生まれた生産牧場の人たちや、シルバーファーンを管理する厩舎スタッフ、馬主、そしてシルバーファーンの騎手が一頭の競走馬を育てながら成長し、厳しい馬の世界で生きていく決意を新たにする…そんなお話。
はじめは、なんかマンガっぽいなと思ってたのですが、読み進めるうちにだんだんとシルバーファーンのファンになっていく感じで、大一番に臨む時はドキドキし、勝った時は登場人物と共に涙するといった風になりました。また本書は生産牧場、厩舎、馬主の関係性もよく分かり、興味深く読めました。
またシルバーファーンは架空の競走馬。そのレースに勝つかどうか全く予想できません。そこにリアルな競馬と共通するスリルがあり、楽しめました。
先日紹介した『黄金旅程』にもありましたが、競馬界の問題の一つ、引退馬のその後のことや、競馬は動物虐待なのかという問題を本書も逃げずに取り上げてます。本書では生産牧場のおばあちゃん専務が、競馬を批判する若い女性スタッフに、こんなようなことを言い放ち、黙らせます。
「そんな安っぽい感傷を持っていたら馬屋は続けられないよ。馬が死ぬたびにかわいそうだ何だなんて言ってるような人間はこの世界に向かない。外側で馬を見てろ」
この場面は、本当に考えさせられました。
我々の祖先がより速く走れる馬をということで、人工的に誕生したのがサラブレッド。そしてそれは人間無しでは生きられない生き物。もしかしたら、この行為が間違ってたのかもしれない。かと言って、今競馬を廃止したら、今活躍している競走馬はどうなってしまうのか?馬を養うには莫大な費用がかかります。馬主たちも競馬無しでは所有馬を養うのは難しくなってくるし、競馬が無くなった世界でどこが馬たちの面倒を見られるのか?もし競馬を無くしたら、今活躍できている競走馬もかわいそうなことになるでしょう。だからやはり、競馬を無くすことは今更できないし、無くしてはいけないと思います。競馬を続けることは今を生きるホースマンたちの責任であり、それは競走馬の命を守るこでもある…。本書のおばあちゃん専務の言葉から、そんなことを考えました。
ちなみにシルバーファーンの主戦騎手、モデルがいるとすれば、丹内騎手だと思います。私の頭の中でシルバーファーンの鞍上は、常に丹内騎手でした(笑)
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ちめさん
Mr.flehmenさん、コメントありがとうございます!
サラブレッドという馬を作ってしまった以上、その血を絶やさないということが人間の義務のような気がします。それは仰る通り、マクロの面であり、大きな意味での命を守る行為だと思います。一部の動物愛護的な人の馬がかわいそうという主張は「木を見て森を見ず」だと思いますね。 -
Mr.flehmenさんがいいね!と言っています。
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おばあちゃん専務のセリフ、考えさせられますね。
馬一頭の命の重さや尊厳も大切ですし、脈々と続いてきたサラブレッドの繁栄、血統を後世に残すというマクロの面で考えなきゃいけない点と、そこの折り合いが難しいですよね。
機会があれば読んでみたいです! -
ちめさん
べっちょさん、コメントありがとうございます!
サーカスとかもそうですね。あと猿回しも動物を調教して金儲けする。動物虐待かどうか、調教される動物がどう感じてるかということかなと思います。動物に恐怖を与えて人間に従わせてるのなら、それは虐待。競馬に関しては、馬に恐怖を与えては、馬は人間を乗せたりしないし、あれだけ大きな体なら、本気で拒否したら人間はお手上げです。レースも騎手と馬との信頼関係が無いと良いパフォーマンスはできません。たまにパドックで厩務員さんに甘える仕草を見せる馬もいます。普段馬が人間に虐待されてると感じてたら、あんな仕草は見せないでしょう。 -
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べっちょさんがいいね!と言っています。
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べっちょさん
このはだけの問題じゃない。は動物が何種類いるんだ 曲芸を覚えるために調教してるんでないの 水族館もそうだ。
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ちめさん
バンバ・ラルさん、コメントありがとうございます!
そうですね、昔は戦争に駆り出される軍用馬がありましたね。サラブレッドではないけれど、鎌倉時代やら戦国時代やら、戦に馬は付き物でした。
バンバ・ラルさんのコメントで、競馬法制定に尽力された安田氏のことも、競馬ファンとして知りたくなりました。競馬はギャンブルとしての楽しさだけでなく、いろんな角度から見て考えさせられる、面白いものですね -
ちめさん
オれんジさん、コメントありがとうございます!
最近丹内騎手に注目しているせいか、本書のシルバーファーンの騎手の姿が丹内騎手になってました。陽気でガツガツしてなくて、それでいて根は真面目な感じが丹内騎手のイメージと被り、また派手ではないけど、勝ち鞍をコツコツ挙げる中堅ジョッキーという立ち位置も似てると思いました -
バンバ・ラルさん
軽種馬の品種改良は貴族の所有馬自慢から始まって軍事用でもあったでしょう。第2次世界大戦までは「馬は兵器」ですから。なので競馬法を作った安田伊左衛門翁は偉大です。府中に行く度にパドック傍の胸像に手を合わせてます。昔、少年サンデーで連載されてた「じゃじゃ馬グルーミングアップ」という作品もそういうトコが描かれていました。