288件のひとこと日記があります。
2017/05/25 09:45
変わりたいと思った、オークスデー。
人様の馬券の買い目を見て、目頭を熱くしたことなど、きっと初めてだったと思う。
オークスの買い目
ソウルスターリングとアドマイヤミヤビのワイド
そして…アドマイヤミヤビの単勝
字面でみれば1番・3番人気の、なんてことはない買い目かもしれない…
2歳からレースをずっと見守り、その都度レース回顧を根気強く続けてこられ、
その上でアドマイヤミヤビの強さを語り続けてくれた方。
桜花賞でのまさかの結果を目の当たりにされた心中を想像するだけで、胸が痛かった。
場合によっては、それまで培ってきたことが大きく崩れてしまうかもしれない結果。
普段の私の勝手な思い込みや、向こう見ずな期待から発生するそれとは違う、…だからこそ。
当日、パドックでアドマイヤミヤビを確認されたところ、出来がもうひとつだったそうだ。
百日草特別の時ほどではなく、完調とは言い難い…そんなニュアンス。
逆に万全の態勢だったのがソウルスターリング。
道中内目を通った馬が最後まで伸び、外を通った馬はスタミナ切れからか伸びを欠く馬場傾向も把握しておられたことからも、ここでの評価は下げざるを得ないだろうと思っていた。
ただでさえ、普段から購入される券種は基本、「複勝」「ワイド」
長年競馬と向き合って、考え抜いて至ったであろうこのスタイルを崩されるときは、よっぽど「何か」があるとき。
レースの結果が出て、報告されたのが上記の買い目だった。
驚きとともに、目頭が熱くなった…
どんなレースでも、出走する限り「絶対」はない、と思う。
それでも今回のレースに限っては、スタートの時点ですでに大きなハンデを背負っていたと思われるほどの枠の差。
選んでも複勝…または買わないという選択だって、もちろんあったと想像する。
アドマイヤミヤビの、単勝。
よっぽどの「何か」。
それが本当のところ何だったのかは分からないし、実際には何にもなかったのかもしれない。
上手に表現する術はないけれど、でももしかしたら、常に現実を直視するこの方にはちょっぴり「らしくない『祈り』」のようなものだったのかもしれないと。
最後まで諦めず3着を確保したアドマイヤミヤビの姿に重ねて…
冷静に、自分の購入した買い目を眺めてみる。
なんとも散らかった買い目を見て、大きくため息をつき、ふと思った。
競馬の馬券を購入することは、「決断」することなのだと。
あれはきっと祈りなんかじゃない、膨大な情報や長年培ってきた経験に決断を下したまで、ということだと。
馬券を購入するという行為に違いはない。
「選択」であろうが「決断」であろうが、レースが終わって得られる「当たった」「外れた」という結果は、買い目が同じであれば同じもの。
「選択」とは、多くのものの中から、よいもの、目的にかなうものを選ぶこと
「決断」とは、意志をはっきりと決定すること
…自分のしていたのは、間違いなく「選択」だった。
こうなったらいいな、というものを選択していたにすぎないような気がする。
応援している馬が勝ったらいいな、オイシイ配当がとれたらいいな、
そして何より、外れなければいいな、という甘さからの選択。
正しい答えが幾重にもある中から、これがいい、と選択するなら問題のない話。
でも、競馬の世界は違う。
正しい答えは、一つ。
答え、という表現はちょっと違うような気がするけれど、結果というものを答えとするなら、それは一つしかない。
答えを導くための方程式が、あるようでない。
同じ答えが二度と発生することなどないことに、そこでしか使えない方程式を探して、組んで、これが答えだと、決断する。
これはまた別の方ではあるけれど、以前、ある日記に頂いたコメントで、今でも深く心に残っているものがある。
『長く競馬を愛して行こうと思ったら、的中率はともかく、納得行くまで予想しなければなりません』
納得いくまで予想するプロセスこそ、決断するまでに重要なこと。
意図するものは同じだと思う。
競馬を嗜む方に、深く憧れることが多い。
きっとそれは、自分に足りない「決断力」を持っている方が多いからなのだと、今ははっきり思う。
たくさんの状況から判断して、決断を下す。
結果を丸ごと受け止めて、また次の決断へ。
その取り組みでより育まれていくであろう人間力に、憧れ、涙した。
…とはいえ、競馬とどう向き合うかは人それぞれ。
ただ向き合い方で、その後の人生は大きく変わるような気がしている。
変わりたい、と思った、そんなオークスデー。
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ぴるぐりむさん
>アナリストさん
拙文ではありますが…お褒め下さりありがとうございます。
競馬を知って、何年もかけてようやくたどり着いたスタートラインですが、
自分の中できちんと飲み込んで折り合いをつけて挑むことが大事だと思っているので、時間はかかりましたが、競馬を長く嗜んでいこうと思ったら、必要だった時間だと思うようにしています。
自分以外の方の元に、その思いが届いたことが嬉しく思います。
思いを汲みとって下さり、ありがとうございました。 -
アナリストさん
何度読んでも素晴らしい、むしろ何度も読むべき、常に立ち返るべき原点。一年で一番ボルテージの高まる東京優駿の前に、これほど素晴らしい記事を拝見できたことに心から感謝しています。
ぼくの馬券ポリシーは的中への飽くなき意志から来る、全く感情を持たない買い目。
とは言え、的中/不的中は栓無き事。徹底した予想プロセスを貫きたいものです。 -
ぴるぐりむさん
>アナリストさん
目を止めて、コメントまで頂きありがとうございます。
今更ながらに、競馬を通して自身の生き方というか、そういうことを見つめなおすことが多くなってきました。恥多き人生でございます(*_*) -
アナリストさん
たまたま見た日記にコメントするのは初めてです。
非常に深く思料された内容に感動しています。 -
アナリストさんがファイト!と言っています。
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アナリストさんがいいね!と言っています。