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2014/05/01 21:20

弱者の強み(仮)

弱者の強み。
そんな言葉が、ふと頭に浮かんだ。

競馬における弱者とは、いわゆる弱い馬のことであろう。
(※弱いといっても、実際はそんなに弱くないケースが多いのだが、ここではとりあえず弱い馬とさせていただく)

弱者は強者に対して、持っているものが少ない。
取られる戦法も限られてくるし、勝ちを狙えるシーンがなかなか生まれてこない。
しかしそれは、弱者を何かに徹させることになる。
そこに、弱者の強みが生まれる。

強いだの弱いだの、抽象的な話を続けて申し訳無いが、現代における強者にはオールマイティさが求められているのだと思う。
大きな勝ち星をいくつも収めていながら、格下の相手に負けているようでは、周囲からの非難が殺到するだろう。
大きな勝ち星をいくつも収めていながら、特定の条件でしか結果を残せないようでは、「あいつは本当に強かったのか?」と言われてしまうだろう。

強者は強者で有り続けなければならない。
苦手な局面においてもそれなりに格好を付けなければならない。
大きな勝ち星を収める前は、「自分のスタイルを貫いて、苦手な局面になったらあきらめる」という戦略が可能であったとしても、大きな勝ち星を収めてしまった後では、その戦略を周囲は取らせてくれない。
強者となってしまった以上、自分の能力を目の前の状況に最適化していかなければならないとも言えるだろう。

一方、弱者は自分のスタイルを貫けば良い。
「自分のスタイルを貫いて、苦手な局面になったらあきらめる」という戦略が可能なのだ。
他を打ち破るための戦略・自分が唯一能力を発揮できる戦略にこだわるしかない、というより、こだわることが最善なのだから、それに徹するとことで勝ち目が見えてくる。
これは弱者はプレッシャーが無く気楽な立場で戦いに望めるとか、そういうことではなくて、強者と弱者の最善手数の差の問題だと思っている。
強者に対して、弱者の最善手はいくつも無い。
勝ちが狙える局面が圧倒的に少ない。
つまり、自分が取るべき戦略について、迷う必要が無いのだ。

「もうこれしかない」という戦略を取った弱者に展開が向けば、強者を間違いなく負かすことができる。


それを一番に感じさせてくれたのは、2年前の天皇賞(春)を勝利した、ビートブラックであった。

「ここに動画」


オルフェーヴルは前走の逸走の不安から抑え込むこと確実。
そのオルフェーヴルをマークする他馬。
高速度の増した京都の馬場。

条件が揃っていたことは確かだが、ビートブラックの鞍上、石橋騎手のファインプレーも見逃せない。
2000mを超えた辺り(レース左上のタイムでは2分辺り)で、ペースを落としにかかる先頭のゴールデンハインドに、ビートブラックが並び、1F12.0秒のタイトなペースに戻して行く。
大きなリードを築いたからといって、溜めている場合ではないと判断し、ペースを引き上げていった石橋騎手は、「もうこれしかない」と思っていただろう。


今年は弱者が何に「徹する」のか。
そして、もしその弱者に、展開が向くようなことが有れば。
もうそれは「弱者」なんかでは無いのだと、私たちは知ることになるのかもしれない。




合理的な競馬予想を「ラップタイムから見える世界」より。

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