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2011/12/28 20:06
期待と期待収縮:ヤマアラシのジレンマ
サラブレッドの一般的な一義は、より速く競走できる能力にあります。
そのために、より速く競走できるであろう配合がなされます。
配合の検討材料は、主に近親馬や類親馬への評価です。
その意味では、3冠馬オルフェーヴルのようなサンデーサイレンス系や、
変則2冠馬キングカメハメハのようなミスタープロスペクター系が過度に重用され、
遺伝子プールが狭まるのは当然で、自明の帰結とも言えます。
しかし、冒頭で述べた一義に鑑みれば、遺伝子プールの広さは、
まだ見ぬ極限に速い競走馬誕生の可能性の高さに相関しており、
ここにジレンマが生じています。
このジレンマは現代に始まったことではなく、
洋の東西問わず、過去の名馬らの血統表を見れば、
おおよそ当時の主流血統で占められているのが判ります。
現代のジレンマが過去のそれと決定的に異なるのは、
現代が、国家や地域間の競走馬・繁殖馬の交流が盛んになって久しく、
外国の期待馬の血を導入しても、以前ほど異系の血脈になりづらくなったことにあります。
現在、2011年の年の瀬を迎えていますが、過去数年の日本調教馬のレベルは、
調教サイドの技術や知識の向上もあって、世界的にも極めて高い水準のはずです。
少なくとも向こう10年間は、このレベルが維持されるものと思います。
加えてこの時代にレースが見られるという縁は、とても恵まれたものだと思っています。
そして、それ以降の将来の競走レベルの高さを担う一端には、
冒頭で述べた一義の範疇に収まりきらないもの、
例えば、競走成績が悪くても生産牧場の執念や愛着、こだわりで大切にされている、
マイナー血統の馬が鎮座しているのかもしれません。