16件のひとこと日記があります。
2015/02/07 05:00
ミルコ・デムーロとエイシンフラッシュと女性職員
2012年天覧競馬となった秋の天皇賞で勝利したのが
ミルコ・デムーロとエイシンフラッシュ
勝利騎手と勝利馬は行幸啓くださった両陛下に敬礼するのが慣例ですが、
通常、馬はターフで静止し、騎手は馬上でヘルメットを取り
頭を下げて敬意を表します。
馬上からでは失礼千万という人がいますが、これには理由があります。
日本中央競馬会競馬施行規程に
「第7位までに入線した騎手及び特に裁決委員が指定した馬の騎手は、騎乗したまま、
検量室に行き、馬場取締委員の命ずるところに従って下馬しなければならない」
となっています。
この規定は理に適っていて、斤量関連の不正防止と人馬の安全を計るためです。
つまり、勝手に途中で降りてはいけないのです。
が、デムーロは下馬して、跪きます。
これは、中世の騎士が主君から叙任を受ける時の名残で
遡ると古代ローマの貴族階級で行われた儀式に起源があります。
簡単に言えば、敬意というより、封建時代の主従関係に近い「ひれ伏す」に近い感覚です。
日本人で言えば、土下座に近いのかもしれません。
イタリア人の彼からすると最大限の敬意を表してくれた訳です。
この一連の動作の最中にJRAの女性職員が近づき、
跪いている写真の中にも映り込んでいます。
これを非難する人が多いですがこれは間違いです。
彼女は冷静に仕事をしているだけです。
通常、検量室前の下馬処まで下りないことになっているのですから
故障か特別な理由の為というのは明らかです。
状況を考えれば、デムーロが下馬して敬礼をしようとしているのは解るので
放馬しないように手綱を取りに行ってるだけなのです。
人馬の安全を考えた愛に溢れる行為なのです。
エイシンフラッシュが多少暴れていれば、なぜ女性職員が近づいたのかが
万人に理解されたと思うのですが、それすら気付かせないほど冷静で賢い馬ということです。
競争直後の興奮状態にあることを考えると実は結構リスクが高い行為なのです。
三者三様に個性が滲み出た歴史にの残る名シーンでした。