馬券裁判雑感[その4-1]

一番難問のため無為に時間のみ過ぎてしまった。

・今後に問題を残す裁判所の意見
　この様に記したが，三権分立下における司法の立場では「意見付与」としか術は無く，致し方の無い事なのであろう。しかしこの意見を受けての通達は到底受け入れざる事が出来ない通達となっている。
　本判決では結局のところ単純に外れ馬券を経費として認めたわけでは無い。本事案の「特殊性(外れ馬券を経済活動の一環として認めなければ担税力を超えた課税となってしまう)」に鑑みて，その様な解釈を採用したまでである。一方で「課税対象を明確にして妥当な税率を課す等の特例措置」も提案した。その方法は宝くじの様な非課税扱い(ただし控除率は現行の勝馬投票券の約2倍)もあり得るだろうし，購入時に課する方法も考えられる。後者で抵抗感が生じるのが，国庫納付金である。名称は違えどこちら側からの感覚とすれば税金と同レベルである。またもしこれ以上控除率を引き上げたら，先般の法改正で一定内の率内において控除率の設定を主催者に委ねた理由(売上が控除率に左右される)と相反する事にもなるし，大体が今でも負けを覚悟して買っているとは言えハナから負けが見えている勝負に誰が乗るのだろう。よって公営競技団体毎に割り当てられている国庫納付金は廃止して，全て一般会計に繰り込むべきである。それで困るのは各省庁である。困るのであれば自分達が自分達の労力をかけて死守すれば良い。また競馬においては生産界が補助金関係で困るであろう。それであるのならば生産団体も対岸の火事の如く無関心を装わずに，ロビー活動を行うべきである。