湖山荘…思い出

先にも書きましたが湖山荘の露天風呂。ネット上にありました。

この広さが写真を通じて伝わるか分かりませんが，開放感が抜群です。そう開放感では夜よりも日の出後の方が味わえます。

あと今から思い出すとここの露天風呂に昼間入った時の記憶は，写真の様な風景しか残っていません。実際には小雨の時もあり，縁側から御所胡を臨むと霞掛かった岩手山を目にした記憶がありますから，都合の良い記憶だけ残ってくれているのでしょう…

そんな小雨混じりの時に取っていた朝食で，相も変わらずビールを一人呑んでいたら，隣に座ったご夫婦の旦那さんが声をかけてきました。
「若いのに(当時30前後でした)ビールなんて珍しいねえ」，「いやー，ほとんどこればっかりです」。
ここから始まり，蒲田の消防署に勤務されていて年に一度ご夫婦で温泉巡りをされているとか，御所胡の風景が幻想的でしたので三島ならどの様に書くのか知りたいと話すと，太宰がお好きとの事で同じく氏が書いたら読みたい等と，話題は飛ぶものの切れる事なく続きました。その間もひたすらビールを注いで下さり，瓶が空けばまた注文の繰り返しでした。
気づけば優に一時間は超えていたかと思います。「おっ，もうこんな時間。つき合わせて申し訳なかった」，「いえ，あとは在来線で帰る位，時間には余裕が旅ですから」と答えたところでお開きとなりました。
先に旦那さんが席を離れられて残った奥さんが「本当につき合わせてごめんなさい」と謝られたので，「こちらこそ，いい気になって呑んでしまいすみません」と返すと，「ちょうど呑み相手が欲しくてうれしかったのですよ」と言って下さいました。
お別れを伝え，最後にもう一風呂浴びて出たところ，先ほど旦那さんが追いかけて来ます。「タクシー呼んだから駅まで乗って行ってくれ。あとこれで払って足りなかったら申し訳ないが自腹で頼む」と言われ，一万円札を渡されました。正直言えば，バスでも一向に時間的余裕はあるし，おそらく運賃も安いだろうと考えましたが，他人の好意を無にする方が無粋にしか思えませんので，有難く甘えさせて頂きました。

齢行った青春の思い出(笑)。