スプリンターズS雑感

前後半の3Fは33.9-33.7。スローペースとは言わずとも緩い流れであったのは間違いありません。

そんな流れの中を差し切ったレッドファルクスは掛け値無しの現王者でしょう。ただその裏返しには，この路線の低調さが否めないのかもしれません。週刊競馬ブックで吉岡氏も記されていましたが，マイル路線に実績のある馬が上位を占めたと言う事は結局上がりの勝負になったためで，生粋のスプリンターの厳しいラップを耐えて前半のスピードで勝負を決めるパターンに持ち込めなかったという事なのでしょう。この現象は正しく生粋のスプリンターであったハクサンムーンの引退から始まり，元々intermediate以上の距離で言われたスローペース症候群が，mileからsprintまで浸食して来てしまったのかもしれません。凱旋門賞どころか，香港スプリントさえもまた遠い所へ行きつつあります。とは言え，ダートの重賞にも勝ち，安田記念も3着に入ったレッドファルクスに期待を寄せざるを得ません。軽い所でJBCスプリントを勝ち芝・ダートG1勝ちで短距離代表馬を決定付けるも良し，左回りを求めてアメリカBCスプリントへ向うも良し，ただ来年の高松宮記念の勝利を目指すと言う事での休養は勘弁してもらいたいです。

レッツゴードンキの2着は岩田騎手の好騎乗の賜物でしょう。勿論，レッドファルクスのデムーロ騎手もそうでしょうが，より着順に貢献したのは岩田騎手だと思います。逆に馬のスプリント能力だけで言えば，クッキリと白黒がついてしまったのかもしれません。

ワンスインナムーンは高松宮記念の大敗からすっかり立ち直りましたが，このペースで行った事が好走の原因となると余り今後に多くは望めないかもしれません。逆にこのままだとこの路線の停滞期からの脱出は図れませんので，何とか前半あと0.5秒早いラップでも，耐えうる能力を身につけて貰いたいものです。

そしてビッグアーサーですが今年はまだ全うなレースを出来ました。レース前にかなり発汗していましたので，正に「気で走った」のでしょう。だからこそ追い切りがあの体たらくでも6着に残ったのではないでしょうか?ただレース中も引っかかりましたが，前に壁を作る事が出来ないので，厄介な事は厄介でしょうが…次はどこへ行くのでしょうか?京阪杯，賞金別定ですと辛そうです。