勝ちタイムと馬場に関して

この前の土日は軒並みとんでもない時計が並んでいましたが，ひとたび欧州に目をやればさほど珍しいタイムでも無さそうにも思えます。例えば1800m戦でエイシンヒカリが勝ったイスパーン賞は1分53秒2。東京での1600万下甲斐路特別は1分55秒7。2400m戦での凱旋門賞もこの10年のうち3回は2分30秒台。京都での1600万下古都特別は2分33秒0。国際G1と1600万下との出走馬レベルを考慮したら，そこそこそれらと等しい時計のかかる馬場であったと言えます。

勿論，エイシンヒカリが勝ったイスパーン賞も，前述の3回の凱旋門賞も，当該コースでも時計がかかる馬場であったのは確かです。ですからファウンドやデインドリームが勝った年の23秒台や24秒台は，JCの平均的な勝ちタイムです。そう，凱旋門賞の好タイムがJCの平均タイムという事になると，当然の事ながらJCの好タイムはもっと早くなります。

ただしこれを遅くするが為に，「馬場を柔らかくする」シャタリング等を行うのは限界ではないかと思えます。と言うのも個人的な感覚ですが，現在の馬場は雨に弱くなっている感じがします。含水率が稍重でも時計は以前の重並みになっている気がします。例えれば，カステラにナイフで切れ込みを入れてコーヒーをこぼすのと，入れずにこぼすのと，どちらがその後にスプーンで叩いて壊れ易いか。そして壊れれば不陸が生じ不正着地に繋がり易くもなります。

芝丈もほとんど欧州並みです。ここで更に1cm，2cm伸ばしても軟化が有意差が得られるほど，効果があるとは思えません。むしろ伸ばす事により，落鉄等の馬場の目視管理に悪影響を及ぼす事の方が心配かと思います。ましてや品種改良など一朝一夕出来るものではありません。エクイターフも10年ほどの歳月を経て実用化に至りました。むしろAWの方が即効性では現実的と思えますが…



「菊花賞雑感」であの時計で走った後が心配，と言う主旨のことを記しましたが，よく考えてみれば欧州競馬では珍しい時計でもないと思い記しました。まあ，私自身の思考に矛盾が孕んでいる事の証明で他ならないのですがね。