スプリンターズS雑感

前後半3Fずつのラップは33.0-35.3。特に前半3Fはここ10年間でカレンチャンが勝った2011年良馬場で行われた時と同じ4位タイの数字で，それより上位の年は全てが良馬場と，稍重としてはかなりのハイペース近かったと思います。因みにアストンマーチャンが勝った2007年不良馬場の結果は33.1-36.3と最後は完全に足が上がったレースでした。確かに稍重と不良と馬場発表は2ランク異なるものの，馬場改修工事と最近の馬場管理(エアレーション・シャタリング等)で「含水率は低くても時計がかかり易い」傾向からは，かつての2ランクの差は無いものと感じております。

そうすると前記アストンマーチャン以外にもカルストンライトオやダイタクヤマトの様に，馬場が悪化すると逃げ馬が残る可能性が高いレースですから，ワンスインナムーンの逃げには注目でしたが，前記3頭が他馬を寄せ付けない暴走気味の逃げに対して，終始ラブカンプーに絡まれる，というよりも出かけはラブカンプーの方が上回って熨斗を付けての逃げであったためか残れませんでした。これは残念ながら逃げ馬のレベルとして，前記3頭には及ばなかった結果かと思います。

結果としてワンスインナムーンを潰したラブカンプーは3歳牝馬の上，本レースで何か揶揄されるサクラバクシンオー系。それが2009年カノヤザクラ3着以来の馬券圏内に入着しました。まだ3歳馬ですから当然の事ながら来年への期待も高まりますが，牝馬であるが故の成績の急降下，これまでの出走数，そして2着賞金を積み重ねてはいるものの収得賞金順での除外の恐れ等，不安点が多々あります。しかし日本愛国馬党の私にとって来年は，これにほぼ決定かと(笑)。四の五の考えるよりも気楽ですから(大笑)!ただ賞金に関しては早めに重賞勝利を望みたいのですが，次走がスプリンターズS出走人気馬の成績が悪い鬼門の京阪杯なのか，年明けのシルクロードSなのか，気になるところです。

3着には道中3番手を進んだラインスピリットか入りましたが，これは4000勝騎手の手腕によるところが大きいかと思います。直線手前位から，手応え良くナックビーナスが上がって行った時にはここで終わりと思いましたが，先にナックビーナスが下がると空いたところ目がけてやっと追い始めてダイメイプリンセスを抑え込みました。ナックビーナスが来た時に共に動かず，そして進路が開く(開ける)。真骨頂を見せられました。

そんな先行馬2頭を余裕で差し切ったファインニードルですが，あれだけ安全運転な外を回る競馬で差し切ったという事は，着差以上の力差があると考えられます。暮れの香港で前回の雪辱を果たして貰いたいものですが，叶えば一気にロードカナロア級の称賛が待ち受けましょう。

馬場が悪い割には，特に展開による有利不利と言えるような結果にはならなかった思いますが，それでも馬場そのものに対する適正はやはり問われたかと思います。昨秋は天候不順な年でしたが，今年は極力良馬場で行われる事を願いたいです。