ラグビーワールドカップ対アイルランド戦雑感

歴史的な勝利を見せてくれた事，しかも相手国に何ら言い訳のきかない場所で上げてくれたことに謝意を表します。これは日本対アイルランド戦数をアイルランド側は7回，日本側は9回と異なる様に，アイルランド側は出場選手によって「国代表」としては認定せず，試合そのものも「国代表」同士の「テストマッチ」にも認めませんでした。これはスコットランドも同様で1989年，日本が秩父宮で当時のインターボード加盟国から上げた初勝利を「テストマッチ」としては認めていません。しかし昨日の勝利はそのような言い訳が効かない完全ものでした。

ただしその勝利の接頭語として「奇跡」という言葉は相応しくないどころか，選手をはじめ関係者に対して失礼に当たるでしょう。確かに勝って当たり前にはまだ程遠いですし，五分同士の関係にも至ったとは言えないでしょうが，少なくともスクラムで相手側を撃破できる位の力を持つようになりました。それであれば数回に一回は勝てますし，そのような関係での勝利であれば「奇跡」では無いでしょう。それ位，昨日の勝利は完璧に近いものでした。

その中での不安点を上げれば，再度福岡・マフィ両選手の故障具合でしょう。特にマフィ選手は再度の故障が原因の様で退場してしまいました。これはもうサモア戦には出場するべきでは無いでしょう。また福岡選手も試合終了際にインターセプトをしても，最後まで走り切れませんでした。これまたアイルランドの選手に失礼な言い方になってしまいますが，あの選手に追い付かれるようではまだ傷が癒えていないと判断せざるを得ません。こちらもサモア戦はもうリザーブにも入らずに完全に欠場して貰いたいのですが…　ただそうなるとトゥポウ選手も怪しい様なので残りが松田選手かモエアキオラ選手2人のみですから，スクラムハーフ以外のBKの控えが1人と言う危機的な状況に陥ってしまいます。けれどもその布陣でここを乗り切らなければ決勝トーナメントはまた危うくなります。最初にアイルランド戦の勝利を「奇跡では無い」と書きましたが，予選プールで敗退となれば結局はまた「奇跡の勝利」扱いに落ちてしまうだけになります。そうさせないためにも厳しい布陣になりますが，サモア戦を何とか乗り切り，そして福岡選手にはスコットランド戦を万全な体調で迎えて貰いたいです。