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2019/10/19 09:03
ラグビーワールドカップ日本代表対スコットランド代表戦雑感
まずはタイトルに敢えて「代表」と明記したのは,自明である事さえ覆す協会に対して異議を唱える為である。そして試合前,既にスコットランド協会に対して畏敬の念は無く,失意から怒り代わりりつつ迎え,「勝てるかもしれない」から「勝たなければいけない」と心情は大きく変化していた。
そして大きく変化したのは日本代表もアンストラクチャーな状況を導く為の戦術を,ジョセフHC就任後多用して来たキックでは無く,1960年代大西鐵之祐時代から築き上げて来た「展開・接近・連続」に変換して来た。これが試合当日の強風の為の選択なのか理由は分からない。ただ故大西元監督時代には補い様の無い体格差が残っていた為,ついに完成の日を迎える事にはならなかったが,外国人であるジョーンズ前HCが日本人のそして日本代表の特質である「勤勉さ」に賭けて,それこそ前近代的な猛特訓を科した結果,相手チームを上回る迄は行かなくとも足元には十分及ぶ体格差までに縮め,更に体力差は逆に相手チームを上回るまでに至ったが故の成功であった。それは故大西元監督,逝去後24年を経てようやく故人の戦術が完成した事も意味するものである。ただし余談ではあるが,恐らく故人はその様に捉える事は無く「今現在の関係者が作り上げた戦術」と仰るであろう。
そしてその戦術の前でスコットランド代表に残された選択肢は密集周辺を直進するのみしかなく,実際に後半のトライは両方ともそのような戦術の結果であった。しかしそれのみではゲーム後半になると入れ替えたFW選手の体力や姫野選手のジャッカルに抗うには乏しく,今回は必然として敗戦を迎えた迄である。
試合後,スコットランド代表レイドロー主将は完敗を認めて日本代表に賛辞を贈った。少なくとも協会の人間とは質が異なることに喜びを感じる。そして選手に対して最後に語っている時にはレイドロー主将は涙を浮かべていた。次の対スコットランド代表戦はいつなのか知る由もないが,その時の勝利は約束されたものでは無く,五分五分または不利な戦前評価の元で始まる可能性がある事を思わさせられる場面であった。
一方でサモア戦勝利後に,もし日本代表がスコットランド代表に勝ったらと,その場面を想像するだけで涙腺を緩ませてしまっていた私なので,HUBで号泣は恥ずかしいと思いつつ日々を過ごしていたが,マーク・ドッドソン氏の発言のお陰でそのような事は無くレイドロー主将程度の涙で済んだので,氏にはそういう意味で謝意を表するべきなのであろう(笑)。