女子ラグビー日本代表対スコットランド代表戦雑感

最初に，女子の15人制をフルタイムで見るのは私自身何年振り?，と言う感じなので，下記が今回の対スコットランド代表戦に限っての事なのか，それとも女子ラグビー全体の傾向なのか分かりません。ご存知の方は補足願います。

最初にプレー全体の印象ですが，男子と比べて如何ともし難い差が見えてしまうのが，パスとプレースキックです。スクリューパスはその回転がハッキリと分かってしまう位で，距離を稼ぐには山なりです。ただし山なりの割には先般のワールドカップで頻発していたインターセプトは見られませんでした。カメラワークが遠目・高目でなかった為，オフェンスライン全体を俯瞰できませんでしたからその理由は分かりません。とうぜん，それを考慮してでのオフェンスラインであったが為に，インターセプトはされなかったのかとは思いますか。

そしてキックはその中でもプレースキックと限定したのは，ゴロパントのコントロールや相手背後へのロングキック等は相応のレベルであったので，余計にトライ後ゴールキックで行うプレースキックの低レベルさが目立ちました。しかもコントロールではなくて距離だと思います。両チーム都合8回のゴールキックの場面がありましたが，日本代表のポスト正面の2本のみしか入りませんでした。確かに残り6本は5mライン付近でしたので少々角度はあったものの，男子レベルであればゴールキックですから距離は大した事はありません。それをかなり力んだ感じで蹴っていましたので，距離に対する不安からコントロールが覚束なかったのではと捉えています。この辺，サッカーの男女差はどうなんでしょうか?国際試合での女子サッカーは見ますが，大学の体育実習でしかサッカーをやった事が無い身としては巧拙の差が分かりません。やっぱり，キック力は劣っているのでしょうか…

ただし走力と言う点では100m走って男女差は1秒位ですから，絶対的な差として迄は感じません。あくまでもディフェンス側との相対差の方が大きいので，上手く抜けたプレーに関しては「早い」と感じます。これは競馬でも上りが32秒だろうと33秒だろうとレースの上がりとの比較で「速さ」を感じるのと同じ事でしょう。

そしてゲーム全体のスピード感ですが，前記したパスが目についてしまうと停滞感が否めません。しかし何故かラックにディフェンス側が人数をかける場面は非常に少なく，その為ターンオーバーは個人的に記憶が無い位でどんどんオフェンス側が攻撃をし続けます。ですからむしろ男子よりも流れている様に感じました。リーグラグビーを見た事はありませんが，もしかしたら流れとしては似た様な感じかもしれません。初心者の方達が一番戸惑うプレーの一つにラックでの攻防がありますから，それを考えると女子ラグビーの方が取っ付き易さはあるかもしれません。

と言うのが「女子ラグビー」そのものへの雑感ですが，対スコットランド代表戦となると，ほぼ男子と同じ内容で結局日本が勝つには「速さ」勝負に持ち込む事，これに尽きます。そして「運」はやはり必要です。奪ったトライ数は両方とも4本ずつですが，日本代表はそのうち2本をゴールポストほぼ正面でしたのでゴールキックの差で勝てました。もしスコットランド代表のキッカーのキック力が勝っていたら，逆にゴールキックの差での敗戦でした。

ただトータルでの点差が勝負の分かれ目ですから，決して卑下される勝利ではありません。ランキング上位チームに対してあげた勝利は輝かしいものである事も違いはありません。現在劣勢を伝えられているオリンピック種目の7人制にも，この結果から上昇機運に乗って貰いたいものです。