グランプリボス雑感(最終)

レコードタイムタイで2着，そして泥田の馬場でも同じくタイム差2着となった安田記念。しかしそれは「いろどり」では無く，「いろどり」を映えさせる背景に過ぎない。既に陣営からも「今後の事」に関する発言がなされるようになった今秋初戦は，昨年同様スプリンターズSが選択された。そのレースではさすがにスプリント戦のためか，それまでの掛り癖が嘘のように折り合い直線を向いた。1，2番手の馬たちが馬群沈む中，彼は踏み止まったが4着が精一杯であった。確かに後方待機馬が1，2着したが，同じ位置にいたレッドオーヴァルにさえ先着を許したのであるから，マイルG1勝馬である彼にしてみれば「粘れなかった」と言うのが事実であろう。

続くマイルCSでも前走スプリント戦を使ったにもかかわらず，やはり折り合いは付いて出走馬3番目(とは言え4頭いる)の上り時計を出したものの差のある6着であった。もはや「角を矯めて」しまったのかもしれない。

過日，香港マイルに出走した。陣営がどの様な判断でそれを選択したかは知らない。ただ私はステイゴールドの様な大団円よりも，ホクトベガの二の舞さえ踏まなければ良いと願った。そして勝ち馬には水をあけられた3着。勝負に持ち込むと根性を見せて，それ以外は大敗を記した彼らしからぬ成績で最後のレースを終えた。

今後はアロースタッドでの種牡馬生活が始まるが今春，同じ父であるショウナンカンプ産駒がマイル路線を賑わせてくれた。そのショウナンカンプは国本氏自ら，その産駒成績が上がるべく尽力されている。一方でグランプリボスの実質オーナーはかつて競馬ブック誌に登場の際，非常に回収率を気にする話をされていた。勿論最後は「回収率を忘れる様な楽しみを得られた」等と，綺麗にまとめられていた。果たしてこの違いがどの様な差として現れるかは分からない。分からない事を案じても仕方がないので，せめてグランプリボスの産駒が出走した際には応援したい。それが私のできる最低かつ最高の支持方法であろう。

了