御神本騎手雑感

天才・奇才と呼ばれる人達はどの分野にも現れるものだが，一方で彼らの才覚とは相反する通念，社会常識をも兼ね備えた偉人とも言えるべき人達もいる。御神本騎手は残念ながら偉人であるどころか，「騎手の天才」にさえも成り得ないのだろう。

スポーツどころか戦時下においてもルールは存在する。そのルールを守れないところでいくら見かけ上の勝利数を上げても全く評価に値しない。イチロー選手はワンバウンドの悪球をヒットにする技量を有しているが，誰もがそれを見習おうとはしないし，それを推奨する者も皆無に近いだろう。その技術を取得するよりもストライクゾーンへの確実性を向上させる事の方が，現実的であるからである。しかしワンバウンドのボールを打つ事は，全くルールを犯しているものでは無く，また少々のボール球であれば他の打者でも安打にする事は珍しくない。それが安打にするが為にバッターボックスから外れたり，規則外のバットを使用すればそれは認められない。大井競馬場に於ける調整ルームの規則が例えローカルルールであっても，鞭の御法等ローカルルールはいくらでもある。それが自らに合わなければ合う規則で施行されている団体に移籍するしかない。

規則外で上げた安打や投手の勝利は公式記録から削除される。少なくとも御神本騎手が許可外の人間を調整ルームに立ち入らせた際の勝利は，公式記録から外すべきであろう。また合わせて獲得した賞金は返還を要求すべきであろう。

同じ出身地である益田に，道川と言うこれもまた御神本騎手が現れる前には天才と称される騎手がいたが，残念ながら過去の規則により中央で騎乗する事はなかった。しかし彼はあらゆる可能性を求めて海外でも活躍する等，それこそ内田騎手が一時期アジア全体をさすらっていた時があったが，まさにその先駆けであった。それでもその努力は報われず，理不尽と言わざるを得ないような形で引退をして，そして数年後52歳と言う若さで亡くなられた。

御神本騎手の奇行には色々な理由が噂されているが，それを正確に知る術を私は持たない。しかしもしその理由が単なる甘えであるのならば，即刻競馬界から消えて貰いたい。道川元騎手はもとより現在でも，愚かな制度下のため，その技量を中央で発揮する事の出来ない騎手達に対して失礼極まりない。