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2013/03/20 11:29
ルーラーシップの思い出(6)
5歳にして未だに秋競馬を経験したことがないルーラーでしたが、ようやく完成期を迎えて体質が強化されたことで、遂に念願の秋の府中に降り立つことになりました。
雄大なフットワークによるズブイが力強く息の長い末脚、プリンシパルSでの圧倒的なレースぶり、そして母エアグルーヴとの親子制覇。
ルーラーファンの誰もが、秋の府中でルーラーが見られることを喜んだはずです。
そして僕も秋天とJCは絶対に現地観戦すると心に決めていました。
10月28日、天皇賞・秋。
ここでは断然の中心だと思っていましたが、下馬評では3歳馬2頭やダークシャドウとかなり印が割れていました。
「いやいや、格が違うだろ。オルフェを倒そうかって馬だぜ?
久々だけど鉄砲も利くし、普通にゲートを出て四角で前を射程圏に捉えれば普通に最強だろ」
そう思ってルーラーの単勝3万円、複勝20万円、そしてルーラーが最悪の展開になった場合の優勝最右翼としてフェノーメノの単勝2万円を握り締めて、嫁と二人での現地観戦でした。
個人的に最大の不安は、鞍上メンディザバルのルーラー評が自分の見解とは真逆だったこと。
曰く
「長くいい脚を使えないが、一瞬でトップギアに入れられて、切れる脚を使える」
好スタートを決められればいいけど、出遅れた場合にそのまま後ろから競馬されそうな、嫌な予感がしました。
予感は的中してしまいました。
レースではスタートでいきなり立ち遅れると、道中でもやはり押し上げることなく終始後方のまま。
直線で大外に持ち出して上がり33秒1の鬼脚を繰り出しましたが、前にいた馬にも33秒台で上がられては流石に届きません。
通ったコースと最後の脚色を考えても最も強い競馬をしたのがルーラーであることは明白だっただけに、国内GI制覇の最大のチャンスだと思っていたここを落としたことは相当にショックでした。
勝ったのはポッカリと空いた最内から閃光のような末脚を炸裂させた同期のダービー馬エイシンフラッシュでした。
ダービー以降勝ち星が無かった上、前走の毎日王冠でも見せ場無く惨敗していたため、戦前は正直眼中にありませんでしたが、実に鮮やかな復活劇でした。
レース後のデムーロの天皇皇后両陛下への敬礼も美しいものでした。
それでも。
「女帝エアグルーヴの血を引くルーラーシップこそ天皇賞馬に相応しいのに…」
「秋の盾はルーラーのための舞台だったはずなのに…」
という気持ちが強すぎて、しばらくは悔しさを抑えることができませんでした。
でも、まだ終わりじゃない。
一回叩いてレース勘を取り戻せば、JCではきっとやってくれる。